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俺は他人棒
【熟女/人妻 官能小説】

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立花文恵(34)&加山絢香(40)-2

 また文恵とのセックスをして貰いたい──しかも、ゴムなしで膣内射精。
 文恵を孕ませて欲しいという「依頼」は、予想だに出来ない驚愕の話だった。
 しかし二人の様子は、真剣そのものだった。切羽詰まっているとさえ思えた。
「不妊……ですか」
 事情を聞かされ、酔いは吹っ飛んでいた。
「全くお恥ずかしい話だよ。結婚して十六年、まだ子供はいいか、なんてずっと言い続けてきて……そろそろ欲しいかな、と考え始めたんだけど、出来る気配がない。まさかとは思いつつ検査をしてみたら、僕のほうに問題があったって訳だ。
 亮介くんも知っての通り、夜の仲は至って睦まじい。不能ではないし、見たところ普通に射精しているようではあったけど……精子を作る能力がないみたいなんだ」
 焼酎をストレートであおり、そう語る悟さん。
 眼が充血し、うっすら涙さえ浮かべた表情には、口先だけの慰めはかけられない苦渋の色が見えた。
 喉を詰まらせる悟さんに代わり、文恵が言葉を継いだ。
「二人で話し合って決めたの。……もちろん本人の気持ちを聞いた上でないと、決めたなんて言えないんだけど……亮介くんから精子を貰うんだったら、異存はないよねって」
「ちょ、ちょっと待って文恵さん……そういうのは、病院とかで人工授精みたいなことするのが本筋なんじゃないかな。ほら、精子ドナーとか?」
「だから、亮介くんがしてくれない? 精子ドナー」
 誰のものか分からない種を貰って受精することに、二人とも抵抗が大きいのだという。
「誰のか分からない点がメリットなんじゃないのかなぁ……後々、トラブルとか起こらない秘密性が守られるってことで……」
「亮介くんなら、トラブルにならないでしょ? 子供欲しいとか思わないし、そもそも結婚願望すらない、生涯好きなように遊び人でいたいって、いつも言ってるじゃない。あたしに種つけして子供出来たからって、その子の親権欲しがったりしないでしょう?」
「いやいや……そんな、俺も分かんないよ。マジでそんなことして、文恵さんと俺との間に出来た可愛い子供なんて現実に見せられたら、どんな気持ちになるか……」
 俺もコップに加水なしの焼酎を満たし、一気に飲み干した。
 ウイスキーくらい強いのが欲しかったが、どちらにしても酔えないだろう。それくらい深刻な話だった。
「すまない」
 悟さんが呟くように言った。
「本当に、こんな話を持ちかけて申し訳なく思う。でも亮介くん、これは僕たち夫婦が何度も話し合って、一番納得出来る形だと落ち着いた結論なんだ。
 機械的な受精じゃなく、既に文恵とは身体を合わせたこともある、信用のおける亮介くんに直接精子を貰えたら……と、理想の形なんだ。誰のだか分からない精子ではない、亮介くんがくれた精子で授かった子供なら、僕たちも大事に育てていける。そんな気がしてね。
 僕たちの気持ちはかなり固い。今この場ではびっくりして答えられないかもしれないが、ひとまず持ち帰って、亮介くんも考えてみてくれないかな。この通り、頼みます」
 ソファから降り、悟さんは床に頭をすりつけた。文恵も同様に土下座した。


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