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偽占い師に御用心
【鬼畜 官能小説】

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二良山盛恵の悩み-2

「二良山様は、以前に当館にお越しになったことは……?」
「今日が、初めてです……」

そりゃそうだよな、と俺は思った。以前に来ていてこんな美人だと分かっていたら、叔父が俺に押し付けていくことはなかっただろう。

「どうぞ、よろしくお願いいたします……」

盛恵さんはまた丁寧に頭を下げる。かなりのお嬢様育ちのようだ。釣られてこちらも頭を下げかけたが、あまり下げると顔をオッパイに突っ込みそうなので、途中までで止めた。

「こちらが身分証明になります」

続いて盛恵さんは何とか女子大学の学生手帳を見せて来た。別にそこまでしてくれなくていいのだが、せっかく見せてくれた手前すぐに突き返すのもどうかと思ったので、受け取ってパラパラと中を見てから返した。

「結構でございます。ありがとうございました。では早速、ご相談の内容を伺いたいと思いますが……」
「はい……実は私、言いにくいんですけど、人よりにゅ、にゅ、乳房(にゅうぼう)が少々豊満で……それが悩みなんです……」
「た、確かに大き目かも知れませんね……」

俺は頷いた。言わなくても分かるし、少々どころでもないのだが……
盛恵さんは続ける。

「小学生6年生でもう、95センチのIカップあったんです……中学校の入学式の日に測ったら、100センチのKカップでした。中2に上がったときはMカップ、中3でOカップ……胸が飛び級だな、なんて言われて、恥ずかしかったです……」
「そんなことが……」
「男性の視線が苦手で……女子校に入学しました。でも、進学してからも乳房はどんどん膨らんで……通学の時間はジロジロ見られて苦痛でした……」
「そ、それは、大変でしたね……」

オッパイが大きい女性はいろいろ大変だと聞いてはいたが、このように生々しい話を聞くのは初めてだった。とりあえず言いたいだけ言ってもらった方がいいと思ったので、俺は最低限の相槌だけを打つ。

「高2の最初の日に、120センチのRカップになっていました……そして今では、135センチのWカップなんて冗談みたいなサイズになってしまったんです。でも……」
「でも……?」
「とても恥ずかしいんですけど……まだ止まっていないんです……」
「な、何が止まっていないんでしょうか……?」
「そ、その……にゅ、乳房の発育が、です……」

消え入りそうな声で盛恵さんは言う。俺は驚きを隠せなかった。これだけ大きなオッパイが、まだ成長の途上にあるなんて。

「まさか……」
「本当なんです。私、海外のメーカーにブラジャーを特注しているんですけど、それが最近どんどんきつくなってきてて……」

うつむく盛恵さん。そして彼女は、顔を上げて言った。

「それで先生に、ぜひ占ってほしいんです……」

来た。肝心の依頼の内容を聞き逃さないよう、俺は気持ち、身を乗り出す。

「はい……どうぞおっしゃってください」
「私の乳房、どこまで大きくなっちゃうんでしょうか……? 最後は何センチの何カップまで膨らんじゃうのか、教えていただきたいんです……」
「かしこまりました……」

俺はうやうやしく頭を下げた。もちろん、盛恵さんのオッパイがどこまで育つか、予告して当てるのは不可能だ。
だが、今肝心なのは盛恵さんの将来を言い当てることではない。大き過ぎるオッパイのせいでネガティブな気分になっているのを打ち消し、前向きになってもらうことである。そのためには少し勿体を付けて、発育は間もなく止まる、周りの視線にも近いうちに慣れる、みたいな内容を言ってあげるのがいいだろう。
俺は少し芝居がかった仕草でトランプを取り出すと、机の上に置いた。

「では、早速始めさせていただきます……」
「えっ? あの……」
「な、何か……?」

盛恵さんに待ったをかけられ、俺は内心で焦った。何かまずいことをしてしまっただろうか。

「あの……ご覧にならないんですか……?」
「と、言いますと……?」
「その……実物を、です……」

またうつむき加減で盛恵さんが言う。彼女の手は自分の胸元を押さえていた。

「え、あ、でも……」
「こんなお願いをするぐらいですから、当然覚悟はして来ました……それなのに先生、少しも私の乳房をご覧になろうとなさらないので少し驚いてしまって……もしかして、本気では占ってくださらないんでしょうか……?」
「い、いやっ、そんなことは……」

盛恵さんの意外な発言に俺は面食らった。ここで彼女にオッパイを見せてもらうなど思いもよらなかったが、それが不信を呼んでしまったらしい。慌てて取り繕う。

「えー、オホン。これには事情がありまして」
「事情、と言いますと……」
「占うには順番がありまして……まずはお客様の全体的な運勢について見ることが必要なのです。ピンポイントな未来についてはその後で……当然、お胸の方もそのときに拝見する予定でおりました……」

もちろん嘘八百だったが、盛恵さんはパアッと表情を輝かせた。

「まあ、そういうことだったんですね……私ったら素人のくせに勝手に早とちりしちゃって……申し訳ありません、先生……」

深々と頭を下げる盛恵さん。俺はホッとしているのを隠すため、やや尊大な口調で言った。

「分かっていただけましたか?」
「はい先生……どうか続けてください……」
「結構です。では……」


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