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[有害図書]
【鬼畜 官能小説】

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[有害図書・前編]-3

……愛は自分の容姿が嫌いだった。

力強い眉毛や気が強そうな目は〈可愛い〉の真逆の印象を与えていそうだったし、ふっくらした頬は顏を大きく見せているように思えた。
丸みを帯びた肩から二の腕はゴリラのようにゴツく、太い足首はまるで象の足のよう。

ようやく150センチを超える程度の低身長も悩みのタネだったし、ずんぐりむっくりした不恰好なチンチクリンなんじゃないか……と、本気で思っていた。


(こんな…私……ッ)


愛は湯舟の中に見える幼い身体を見つめる。

なかなかバストラインが広がらない乳房は幅も狭く、半分だけ開いた傘のように尖った形をしている。
そして大きめな乳輪は色素が薄く、その外周だけが色が濃くなっていた。
その先端にある乳首はやけに色が濃く、ピンク色というよりは小麦色に近かった。

その向こうに見える下腹部は丸く膨れて見えるし、その下にある股間もまた、やたらに肉厚で瘤(こぶ)のように盛り上がっている。
そこに生えている体毛も濃過ぎなんじゃないかと感じるほどに真っ黒であり、お風呂に入る度にどうにかならないかと思っていた。

発育途上の胸の先端は時折チクチクと痛み、お湯の対流にすら擽ったさを感じる秘部にも堪らなく忌々しさを覚える……未だに完成を見ない身体はあちこちで要らぬ騒ぎを起こし、「理想像と違う」と悩む愛を嘲る……。


だが、愛の悩みは全くの杞憂に過ぎない。
別に愛だけが特別に悩んでいるのではなく、同級生の女子も等しく思い感じている事だ。

自分の身体は可笑しいんじゃないか?
自分は女の子としてどうなんだろう?

どうしたって身体的な変化が大きい女の子に、それを悩むなというのは酷であろう。
それが自己否定を日常とする《思春期》というものだと解っていても、止められる類いのものではないからだ。

愛が「嫌い」だと思っている眉毛や目は凛とした印象を他人に与えるものだし、頬から顎に伸びる緩やかなラインは、思わず触れたくなるくらいに美しかった。
肩から二の腕にかけての肉感は柔らかな女体の其れであり、足首だって別に太くはなかった。
胸の発育具合にしても個人差の範囲内であり、それは体毛の濃さや秘部の形状も同じである。


(……でも尚人さんは私に……私にキスしてくれた…ッ)


自己嫌悪に陥りそうになっていても、たった一つの体験を思い出しただけで自信が漲ってくる……まるで渓流の水面に落ちた小枝のように、思春期の感情は激しく浮いては沈みを繰り返す……。


「お姉ちゃん、お風呂まだなの?」


磨りガラスの向こうから、耳障りな声が聞こえてきた。
その声の主は妹の亜季。
同じ中学校に通う13歳の一年生だ。

肩甲骨を覆うほどに長い髪は艶やかに輝き、クリクリとした目と低い鼻は誰が見ても『可愛い』と思うだろう。
最近テレビに出てくる〈チャイドル〉とか〈ローティーンアイドル〉だとか呼ばれる女の子より、妹の方がよっぽど可愛いと思うのを否定出来ないが、もしこれが妹でなくてクラスの同級生だったなら、間違いなく生理的に受け付けない女である。




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