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[有害図書]
【鬼畜 官能小説】

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[有害図書・前編]-2


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肌寒さすら覚える風はススキの穂を揺らし、澄み切った空気は夜空の星々の煌めきを一層強くさせている。
初秋の夜、夜景を彩る一粒の光点の中で、在り来たりな家庭が平穏な生活を営んでいた。

その平凡な二階建ての家の表札には[前園]の文字が刻まれていた……。


「ふぅ〜……」


湯気に曇るバスルームに、一人の少女の姿が見える。
濡れた短い髪に桜色に染まる頬……少女の名前は愛と言い、この前園家の長女である。

肩まで湯舟に浸かり、ぼんやりと対流している湯気を眺めている。
それは別に湯中りした訳ではない……。


愛には彼氏が居る。
同級生の笹館尚人という彼氏が。

野球部でファーストを守り、打順は6番。
イガグリ頭で背も高く、真っ黒に日に焼けた笑顔が素敵なスポーツ少年。
中学校に入学した時から愛の憧れの異性であり、三年生の最後の秋になってようやく告白した事で、めでたく交際となったのだった。


(付き合って一ヶ月でキスって早いのかな…?)


高校入試に備えて、尚人の部活動は残暑の最中に終わった。
それでも塾やら何やらで、平日に二人の時間は作れてはいなかった。
しかし、90年代後半から施行された学校土日休みのお陰で、どちらかの休日を選んでのデートを楽しむ事が出来ていた。


なにしろ思春期の男子である。
まだまだ「無い」と思っていたのは愛の方だけであり、今日のデートの別れ際、尚人は胸の昂りに抗えぬままに唇を奪っていった。

当然、愛は驚いた。
だが、少しも嫌では無かった。
ずっと好きだった尚人と交わせた事に喜びが無いはずがなかったし、魅力的な女の子だと認められたんだという実感に小さな胸は爆ぜていた。




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