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渡れない岸辺
【兄妹相姦 官能小説】

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4-2

 そして雄介は麻衣を抱えたままLDKを出て中廊下を進んで行く。
 右側は水廻りになっているが、左側は二間続きの和室、夏のこと、全部開け放っていて庭まですっかり見通せる。
「お、お兄ちゃん……」
「大丈夫だ」
 麻衣は見られちゃうと感じているのだろう、それは強い刺激、スパイスとなりうる。
 実際には外から見れば暗くてよく見えない上に、この家の敷地は庭の前を走る道路から1メートルくらい高くなっているので角度的にここまでは見えないのを雄介は知っていたのだ。
 二つの和室の間に立つ柱、それは大黒柱なのか意匠的なものなのかは知らないが、太目の丸柱になっている、それに麻衣の背中を押し付け、胸を密着させると腰は自由に動かせるようになる。
「こ……声出ちゃう……」
 それはちょっと拙い、雄介は唇を重ねて麻衣の口を塞いだ。
「んんぅぅぅぅぅんぐぅぅぅぅ……」
 麻衣はくぐもった声を出し続けるが、これくらいなら外まで聞こえてしまう心配はない、雄介は存分に腰を振って麻衣を突き切った。

 LDKに戻りソファに横たえても、麻衣は荒い息をつき、目もうつろ。
 大きいが少し垂れ気味の目が焦点を失っているとかなり扇情的に見える、そして肉感的な唇は半ば開いたまま……雄介もまだ駅弁の興奮が残っている、その勢いに任せて麻衣の顔の前にまだしぼもうとしないペニスを突き出すと、麻衣は条件反射のようにそれを咥えた、二日前、新宿のホテルでは軽くキスをするのが精一杯だったのだが……。

「ああ……凄かった……」
 息が整い、目の焦点も定まってくると麻衣がつぶやいた。
「ご満足いただけましたかな?」
 雄介が少しおどけた調子で言うと、麻衣は手を伸ばして来た。
 今日何度目かわからない、熱の篭ったキス……しかし、激しく燃え上がったばかりの二人、さすがにその先へは進まない。
「なんか、疲れちゃった」
「そうだな、俺の部屋でちゃんと布団に横になろうか」
「ひとつのお布団に?」
「もちろん」
「行く……」

 その日の午後一杯布団の上で過ごした。
 朝一番のセックス、思い切りはしゃいだ川遊び、激しかった駅弁セックス。
 確かに体力は消耗しているが、そこは二十一歳の男子と十六歳の女の子、少し横になっていれば回復する、ひとつの布団に裸で横たわっていれば求め合わずにはいられない。
 雄介と麻衣が二本目、今日四本目となるセックスの余韻に浸っているうちに母から電話が入った。
「今従糸魚川で乗り換えるとこ、6時20分ごろ白馬駅に着くんだけど」
「オーケー、その時間に合わせて迎えに行くよ」
「夕ご飯はあたしが作るって言っておいて」
「聞こえた?」
「うん、聞こえた、よろしくね」

 恋人同士の時間は終わり兄妹の時間が始まる、しかし、二人とも十分に満足していて、恋人から兄妹に戻ることに異存はない、どちらにせよ大切な相手であることに変わりはないのだ。

 その後の二日間、雄介はのんびり過すことが出来た。
 二日間とも夜中には麻衣が隣の部屋から忍んで来て、声を忍んで交わったが。
 明日には雄介は東京に戻らなくてはならない。
 母は雄介の好物を夕食の膳に並べてくれた。
「雄介、麻衣の面倒を見てくれてありがとうね」
 確かに面倒を見たが、母の知らないところまで面倒を見ている、麻衣をチラリと見やったが視線は返してこない、この分なら口は固くつぐんでいられそうだ。
「いや、麻衣とデートするのは俺も楽しかったよ、こっちでのんびりも出来たしね、いい休みだったよ」
 全て本音だ、麻衣もこちらを見て微笑んでいる。
「ホント? 今度はクリスマスにまたお願いしたいな」
「なるほどね、確かにクリスマスのイルミネーションは向うに住んでいても特別だからな」
「わぁ、見たい見たい」
「麻衣、あんまり雄介を困らせないのよ、冬休みは塾の方忙しいんでしょう?」
「まあね、だけど夜なら大丈夫だよ、受験目前の子は正規の講師が担当してるから、そんなに切羽詰った子は受け持ってないんだ」
「無理しなくていいのよ」
「いや、今年は一緒に過す相手もいないしさ、麻衣も東京の交通網を少しは理解したろ?昼間は付き合ってあげられないだろうけど」
「だけど女の子が東京で一人歩きは危なくないのか?」
 父が心配している、やはり父にとってもまだ麻衣には小さい子のイメージが残っているようだ。
「昼間なら大丈夫さ、あ、新宿や渋谷より横浜が良いかもしれないよ、治安もいいし」
「それ、いい! 横浜のクリスマスなんて素敵」
「ああ、その方が俺も合流しやすいしね」
「横浜の地理は大丈夫か?」
 父はそんなことまで心配なようだ。
「ガイドブック買って勉強しておく、スマホもあるし」
「そうだよな、なんとなればメールで呼んでくれればそこで合流も出来るしね」
「そうね、良かったじゃない麻衣」
 母はすっかり出す気でいるようだ、こうなれば父が少し位心配していても押し切られてしまうだろう。
「よし、そうと決まれば俺もプラン練っておくよ」
「また小遣いやらなきゃいかんな」
 父も笑っている、勿論、麻衣は満面の笑みを雄介に向けている。
(さて、どこのイルミネーションを見せるかな、それからどこで食事をして……一番大切なのはどのホテルに泊まるかだ……)
 雄介の頭はめまぐるしく働いていた。


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