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「そのチョコを食べ終わる頃には」
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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『第2章 その秘密の出来事は』-19



 海晴は剛との電話の後、その時の弟遼の様子を思い出した。当時もなぜ弟が「リエ先生」という寝言を言いながら枕を抱きしめていたのか不審に思っていたが、結局本人に聞き出すことができずに時と共に忘れかけていた。
「(もしかして……利恵さんを妊娠させたエッチの相手って……)」
 思い返せばあの時の遼の自分との行為には他にもいろいろと不自然な点があった。
 まず、初日、初めての割にはすんなりと自分と繋がり合えたこと。秘部の場所も初めから分かっていたように挿入してきた。そしてあの腰の動き。何と言うか、童貞男子のたどたどしさであるとかぎこちなさが感じられなかった。すでに何度か経験したことのあるような余裕さえ感じる動きだった。そのくせ避妊具のコンドームを付けることは初めてという感じだったではないか。ということは、つまり利恵が教育実習生として高校に通っている三週間の間に、弟の遼は何度も彼女を抱いたばかりか、その時一切避妊をしなかったということではないのか。そう考えると全ての辻褄が合う。
 海晴は軽いめまいを覚えた。
「(まさか、遼がその相手?)」
 あくまでも自分だけの、しかもとてつもない想像だったが、もしそれが事実だとしても、今、姉として遼本人を問い詰める自信はなかった。
「(……どうしたらいい?)」
 海晴はその晩一睡もできなかった。
 それでも、いとこの剛と約束した手前、いつまでもそのままにしておくことはできない。海晴はその三日後、意を決して、夜、電話をして仕事の終わった遼を家に呼び出し、話を聞くことにした。



「なんだよ、わざわざ呼び出して」
「まず誓いなさい。訊かれたことに正直に答えること」
 遼はあからさまに怪訝な顔をした後、いつになく真剣な表情の姉海晴に戸惑い、おどおどした様子で言った。
「な、なんだよいきなり……」
「あんたが虚偽の発言をすると、いろんな人を不幸にするんだからね」
「大げさな……」
 姉の険しい顔つきに遼はしたたかにたじろぎ、思わず床に膝を揃えて座った。
「あんた、高一の時のあたしとの行為は初めてじゃなかったでしょ」
 遼は肩をびくんと大きく震わせた。
 海晴は声のトーンを落とした。「あたしもあんたを尋問するつもりはないの。正直に言うだけでいい。頷いたり首を振ったりするだけでもいい」
 遼はうつむいたまま上目遣いで姉を見た。
「初めてのお相手はその時教育実習生として高校に来ていた岡林利恵という大学生だったんじゃないの?」
 遼は目を落としたまま、動かなかった。
「答えは二つのうちのどちらか。yesかno。どうなの? 遼」
「姉貴はどうしてそれを知ってるんだ?」遼は顔を上げて、震える声で言った。
「yesなのね?」
 遼はまたうつむいて小さく頷いた。
「その人が高校に通ってきていた三週間で何度となく繋がり合った。間違いない?」
 遼は肩をすぼめ、さらに小さく頷いた。

 海晴はその時弟が避妊具を使わなかったことも確認したかったが、それによって、結果的に利恵を妊娠させてしまったかも知れないことを本人に悟られるのは、さすがにまずいと思ったので、慎重に次の言葉を探した。


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