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「そのチョコを食べ終わる頃には」
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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『第1章 その警察官、秋月 遼』-10



「初めてだったくせに、あたしこの弟に強烈にイかされちゃったのよ」
 海晴はウィンクをした。
 遼は縮こまって固まっている。
「激しかったんだね、遼」
 亜紀は隣に座った夫に少し哀れむような目を向けた。
「あたしがそれまでつき合ってきた男とは比べものにならないようなsexだったわ。もうすごいの。終わった後の呼吸数と心拍数が半端なかった」
「そんなに……」
「それにあの長さ。身体の奥の方をめちゃくちゃに掻き回される感じ。敏感な場所をあちこち容赦なく」
「確かにそんな感じですね、いつも遼が中にいる時は……」
「一番奥まで到達して、ぐいぐい押されて発射されるから、生でやっちゃったら絶対すぐに妊娠しちゃうわね。あははは!」海晴は悪戯っぽく言って豪快に笑った。
「も、もうやめて下さい、お姉様……」
 遼は真っ赤になってうつむいたまま、熱く語る海晴に手のひらを向けた。



 その数日後、遼は鈴掛北中学校を訪ねることになっていた。夏休み明けに実施される全校集会で、犯罪に巻き込まれないために、という講話を頼まれていたのだった。週末に顔を出している町の道場『修生館』で顔見知りの天道修平(25)がこの学校で保健体育科の教師をやっていて、生徒指導、安全教育の担当者でもあった。
 修平は大学を卒業してすぐに県の教員試験に合格し、現在のこの北中学校で三年目を迎えたフレッシュな人材だった。彼は小学生の頃から剣道に親しみ、学校でも剣道部の顧問として生徒たちの指導に当たっていた。また、不定期ではあるが週に何度か『修生館』で社会人対象の修練にも参加していた。そしてそこに同じように顔を出していた秋月遼とは旧知の仲だった。そういう経緯で修平は今回の学校での安全教室に遼を講師として招聘することにしたのだった。

 その日、応接室で警察官の制服姿の遼を応対したのは修平(25)と学年主任の篠原利恵(39)だった。
「始めまして、秋月遼です」
「こんにちは。秋月くん、お久しぶり」
 えっ? と思わず声を上げて、遼はそのマニッシュショートの女性教師の顔をじっと見た。
「も、もしかして利恵先生?」
「嬉しい。覚えててくれたんだね」
 利恵は満面の笑みで遼に手を差し出した。遼はその手をそっと握りかえした。
「お久しぶりです、先生。そのショートのヘアスタイル、変わりませんね」
 遼の鼻をローズマリーの香りがくすぐった。
「先生の香りだ……」遼は独り言のようにつぶやいた。


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