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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜蒼猫花〜-8

翌朝からゼロとスーは見違えるほど仲が良くなった。
そして、スーが来て数か月が経ったある日の昼。

ゼロが朝の仕事を終えて廊下を歩いていると、少し先にスーが立っているのを見つけた。
『スーちゃ〜ん♪』
テケテケと駆け出しスーに迫り、スーの前方2mで大地(廊下だが)を蹴ってスーに飛びつく。
だが、スーは慣れた動きでスッと横に避けるとゼロの両手は空を抱いてそのままベチャっと廊下に落ちた………
『ウニャ………な、仲良く………なったのかなぁ?』
『だってあんたのそれ、痛いんだもん。』
昼近いがまだ眠そうに欠伸をしたスーは、廊下に寝ているゼロの腰辺りを掴んで起こす。
『ほら、お昼行こ。』
『………うん♪』
ちゃっかり手を繋いでご満悦なゼロだが、端からみると仲の良い姉妹にしか見れなかったりする。


お昼時で美味しい匂いが漂っている食堂でとりあえず席を取ってからカウンターへ向かい注文する。
『フィルさん、野菜サラダ下さい。』
『はいな♪ ゼロはん何にしとく?』
『ぜろすぺしゃるすりー♪』
『おぉ、豪快やねぇ♪ 任しとき♪』
ゼロスペシャル それは紅館の中でもゼロにしか完食出来ないと言われる特盛ランチのことを示す。
ちなみに?はカルボナーラ。 クリーミーな絶品パスタだが、時間が経つとクリームが固まりだして美味しくない。
最高の味を維持できるのは約6分。
だが、おまちど♪ と出てきたのは直径30センチの大皿に盛られている、常人なら30分かけても無理なぐらいな特盛………
『それをマジで完食するんだから、あんた化け物よね………』
溜め息をつきながら野菜サラダを食べるスーの横で、カルボナーラの山を物凄い速度で平らげているゼロ。
『ふーはんも、もっほはへえまいーばん(スーちゃんも、もっと食べれば良いじゃん)』
『口の中に物入れて喋らない。
私はダイエット中なの。』
『えー、なんでぇ? スーちゃん、ないすばでいじゃん♪』
するとゼロは頬を摘まれた。
『あんたと違って、気を抜くと太るからよ。』
『ふにゃ………』
恨めしい目で見られてちょっと困ってしまったゼロ。
カルボナーラはもう三分の一くらい。
ラストスパートをかけながらチラリとスーを盗み見る。
『………』
いつもらしくなくちょっと頬が赤いような気がする。
それはたぶん、ウェザが理由。
スーの視線の先ではウェザがアルネと一緒に昼食を取っていた。
紅館のメイド達の大半がウェザに恋している。 皆、奴隷だったり孤児だったりしたときにウェザに助けられた経験がある。
その感謝と尊敬が恋心に発展するのは珍しくない。
もちろん、スーも例外では無いようだ。
それでも、アルネの存在が皆を止めていた。
皆、彼女と自分を比べて諦めた。
だが、スーはアルネと比較しても負けず劣らずの容姿を持っていた。

アルネとスー。

始まってもいない闘いの外でじっと見ているのがゼロなのだ。
なんとかして闘いに参加出来ないか?
ただ、ウェザが望みでは無いことだけは二人と違うが。
(ゼロゼロとスーちゃん、アルちゃんとご主人たま。
これでぴったりなのに………)


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