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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜蒼猫花〜-12

『ほらほらスーちゃん、見てみて♪』
ネットリと愛液に濡れた自分の尻尾をスーに見せる。
『こんなに濡れちゃったんだよ♪ んふふ♪』
もう! と、自分の愛液を見せられて恥ずかしがるスーを見て面白がるゼロだが、尻尾の愛液に赤いものが混じっているのを見つけて、ふと笑いがとまる。
『………にゃ、血?』
『あぁ………やっぱり出るのね、血って。』
至って冷静に答えるスーとは違い、ちょっと焦り気味なゼロ。
『えっ? スーちゃんって?』
『はっ? ………処女よ。』
『にゃ! ニャンですとーーー!!』
ガバッと起き上がり、自分の尻尾を掴む。
『何? 私、誰ともしてないのよ。』
『だって、娼婦館で………』
『だから、客取らされる前に逃げたって言ったでしょ?
それに………ん、まぁ、とにかく処女だったのよ。
不満?』
ブンブンと激しく頭を横に振る。
むしろ、とっても嬉しいのだ。
『スーちゃんの処女は〜♪ ゼロゼロの〜♪ ニャフフ〜♪』
すっかり上機嫌に戻ったゼロは、スーに抱きついた。
『はぁ………まぁ、あんたが初めてで良かったかもね。 気持ち良かったのは事実だし。』
そんなことを言いながらゼロの頭を撫でるスー。
『スーちゃん大好き♪』
尻尾フリフリと喜んでいるゼロ。


猫は、名前を手に入れて、住む場所も手に入れた。
ゼロは、スーを手に入れることはしなかった。
だが、二人はお互いを好き合うようにはなった。
ゼロはそれでも満足である。
お互いがお互いを大切に出来れば良い。
相手を手に入れるなんて、なんだか一方的だから。

余談
(まさか娼婦館がSM専門で、私が女王様として仕込まれたから処女だったなんて言えないよねぇ………)



紅館の花達〜蒼猫花〜 完


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