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ニカイノカノジョ・サンカイノカレシ
【OL/お姉さん 官能小説】

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ゴカイノカイギシツ-7

 営業との飲み会は、体調不良を理由に回避して正解だったと思う。喫煙所でルカと会えたあと、急いでデスクを片付けて駅へ向かう。電車に乗るわけではなく、夕飯と大事なものの調達のためだ。2人前の寿司と惣菜、そして忘れちゃいけないのはルカの好物のプリン。コンビニに寄って、ルカが好きそうな缶チューハイと、ノンアルコールの飲み物も買う。
 急いでアパートに向かうと、部屋の電気がついていて、ホッとする。もうルカが帰ってくれている。
 玄関でチャイムを鳴らすと、しばらくしてそっとドアが開いた。

「…お帰りなさい」

「ただいま」

 緊張感は感じるものの、ルカが言ってくれた一言が泣きたくなるほど嬉しい。そのまま滑り込んで、抱き締めたいくらいに。両手の荷物なんて投げ出したくなるくらいに。

「ずいぶん買い込みましたね」

 ちょっと呆れたように、小さな手を差し出すと荷物を受け取ってくれた。

「ん。プリン買ってきたから、食後に一緒に食べよう」

「…ありがとうございます」

 受け取った小さな箱と飲み物を、慣れた手つきで冷蔵庫に締まってくれる。立ち上がって振り返ったルカの小さな身体を抱き締めた。触れた瞬間、硬直したのがわかる。

「ごめん」

 それでも逃したくなくて、腕に力をこめる。ルカはされるがまま、何も言わない。

「本当にごめん。あんなとこ見せて、昨日一晩ルカと連絡が取れなくて、気が狂いそうだった」

「…昨日は…佐瀬さんと一緒に飲みに行ったんじゃないの?」

 胸に顔を押しつけられているせいなのか、少し震えた声でルカが尋ねる。

「行くわけないだろう。これ以上つきまとうなら、出るとこ出るってはっきり断ったよ」

「…納得、してくれた?」

「わからん。でももう二度とあんな状況にさせない。イヤな思いさせて本当にすまなかった」

 少しだけ、ルカの身体から力が抜ける。

「…話したいことって、それ?」

「…あぁ」

ーそれだけじゃ、ないけれど。

「…別れようって言われるのかと思ってた」

「なんでっ」

 思わず声を荒げてしまい、ルカの身体がビクッと震えた。

「ごめん、大きな声だして」

 宥めようと背中を撫でると、おずおずと細い腕をこちらの背中に回してくる。

「だって、佐瀬さんキレイだし、おっぱいおっきいし。もともと仲良さそうだったし…」

「胸がデカかろうが小さかろうが、ルカ以外のオンナに興味なんてないぞ。第一、アイツは既婚者だし、既婚者なのに他のオトコに手を出すようなヤツは信用できない。もし今ルカと付き合っていなかったとしても、絶対に受け入れない」

 もう大分和らいで、忘れかけたはずの古傷が痛む。

「オレ、バツイチだって話しただろ?」

 腕の中で、ルカがこくんと頷く。

「離婚の一番の原因は、元嫁さんの不倫。そこに走らせたのはオレにも非があったことは認める。だから絶対に既婚者に手を出したりしない」

 ルカが、そっと背中を撫でてくれた。

「それからルカに会うまで10年近く、誰とも寝てないし、キスもしてない。そういう店にも行ってない。ルカに会ってようやく、キスしたいと思ったし抱きたいと思ったよ。ルカと付き合い初めてからも、他のオンナに興味なんてもてないし、AVですら勃たないよ」

 ルカの身体が熱を帯びる。耳まで真っ赤だ。

「ルカは…別れたい?」

 ブルブルブルブルと、首を横に振ってくれたことに、心の底からホッとする。

「じゃあ、結婚してくれるか?」

 ようやくこちらを見上げた顔は、何を言われているのかわからないといったポカンとした表情で。

「ルカのこと、もう隠したくない。毎日ここに帰って来て欲しい。この部屋ってことじゃなくて、ここに」

 小さな頭を、自分の左胸に押し付ける。

「…こんなくたびれたバツイチのオッサンがダンナじゃイヤか?」

 黙ったまま、無反応なルカに問いかけると、微かに頭を横に振った。

「…わた…私でいいの?」

「ルカがいい。ルカじゃなきゃイヤだ」

「…だって、私、嫉妬深いよ?それに…あの人の血ひいてるよ?」

「実のお母さんのこと?」

 ルカの実母は、元嫁と同じようにオトコを作って出ていったそうだ。まだ幼いルカを残して。その事で父方の祖母にはかなりキツイことを言われて育った、と付き合う前に話してくれた。仕事が多忙で不在がちな父の代わりに、父親の妹である叔母だけがルカの味方だったと。

「お母さんはお母さんで、ルカはルカだよ。それにルカは裏切られる痛みを知ってる。だから、お母さんと同じことはしないよ、きっと。でも、だからってルカを選んだ訳じゃないぞ」

 ルカの細い左手首をそっと掴む。

「これ、貰ってくれるか?」

 ポケットから取り出した小さな輪っかを、薬指に通す。

「本当はこんなむさ苦しい部屋じゃなくて、海や夜景の見えるオシャレなレストランとかで渡せればよかったんだろうけど、オッサンにはハードル高過ぎて、ごめん」

「…すごく嬉しい」

 されるがままだったルカが左手をかざして薬指を眺める。細いシルバーのリングに、小さいけれど、誕生石のダイヤモンドが載せてある。

「ありがとう。大事にする。謙一さんも、指輪も」

 やっと真っ直ぐこちらを見つめてくれたルカをもう一度抱き締め直す。

「オレもずっとルカのこと大事にする。二度とルカのこと裏切らないし、悲しませない」

 そっとおでこに口づけると、背伸びをしたルカの唇がオレの唇に触れた。

「もう私以外の人とキスしたらイヤだよ?」

「絶対にしない」

 その言葉に満足したのか、ルカから舌を絡めてきた。そんな積極的なルカは初めてで、ゾクゾクする。


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