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ニカイノカノジョ・サンカイノカレシ
【OL/お姉さん 官能小説】

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ゴカイノカイギシツ-9

 くすくすっと笑うルカの振動がつたわってくる。

「会社にも報告しなきゃですよね。私、飛ばされるかな?」

「いや、管轄違うから大丈夫じゃないか?でもオレ、単身赴任はイヤだぞ?」

 こちらのトラウマを感じ取ったのか、安心させるようにまた背中を撫でてくれた。

「謙一さんがイヤって言っても、異動先にくっついていきますよ」

「仕事どうするんだ?」

 ルカの気持ちは嬉しいけれど。

「んー。それはその時考えません?私も一緒に異動できそうなら異動しますし、ダメなら転職するし。その時子供がいたら、またそれはそれで変わるでしょ?」

「まぁ、確かに。で、式はどうする?オジサンとしてはルカのウェディングドレス姿がどうしても見たいのですが」

「あんまりそこに拘りはないんだけど。とりあえず、お風呂とご飯にしませんか?プリン食べたいし」

「全く、現実的なお嬢さんだ。でも、風呂は一緒に入るぞ?」

「えー、やだ」

 ぷうっと頬を膨らませてみせると、吹き出した。

「でも、もう今日はしませんよ?」

「1日に2回もルカに襲いかかる体力は残ってないよ。昨日も寝てないし」

 ごめんなさい、としがみついてくる辺りがかわいい。

「風呂、入ろう。あんまり密着すると汚れ広がるぞ」

 くすくす笑って頷いたルカの腹部をティッシュで軽く拭いてやり、すっかり存在感のなくなった自分のそれも後始末する。一緒に入ることは渋々了承したようだ。

「でもその前に一服したい」

 キッチンまで歩いてきたところでルカが言う。

「同じく」

 裸のままで2人で並んで立ってタバコを吸う様は、滑稽だろうがなんだろうがしったこっちゃない。

「結婚のことですけど。今の会議が終わるまでは秘密にしたらダメ?」

 煙を深く吸って吐き出したルカが不安そうにこちらを見上げている。視線で理由を問いかけると

「あのね、結婚するのがイヤとかじゃないの。それこそ親に報告さえすめば、明日にだって入籍したいくらい嬉しいの」

「でも周囲の目が気になる?」

 少し迷った様子で、頷くまでに時間を要した。

「私は何言われても構わないけど。謙一さん、仕事し辛くなっちゃうんじゃない?」

「オレも何言われても構わないよ。でもルカがそうしたいなら、そうしよう。あのプロジェクトもあと1ヶ月もあれば終わるだろうしな。色んなこと1つずつ片付けていったら、そのくらいあっというまだろ」

 まだ不安そうなルカの頭を撫でると、少し表情が和らいだ。

「ワガママ言ってごめんなさい」

「そんなのワガママのうちに入るか。ルカは、色んなもの自分の中に溜め込もうとするクセがあるだろ?」

「うん。昨日もミチルさんにそう言われた」

「だろ?夫婦になるんだから、溜め込んだりしないでオレをもっと頼ってよ。そりゃ意見が反発するときだってあるだろうし、ケンカになることもあるだろうけど、ちゃんと腹を割って話し合って、2人で答えを出していこう」

 ありがとう、と言いながら細い身体を預けてくれる。

「ほら。身体冷えすぎないうちにシャワーだけでも浴びよう。決めなきゃいけないことは山ほどあるぞ」

 はい、と気持ちのいい返事が返ってくる。ルカを特別な目で追うようになったのは、この返事がきっかけだったのかもしれない。
 2人で代わりばんこにシャワーを浴びて、洗いあって、ルカはいい加減くたびれたオレのワイシャツをパジャマ代わりに着る。出掛ける度にルームウェアでもパジャマでも買ってやると言うのだが、これがいいと首を縦にふらない。意外に頑固なところがあるのだ。

「プロポーズ直後の食事がこんな格好でよかったのか?」

 オレはいつもの半袖のアンダーシャツにトランクス。ルカはノーブラにオレの着古したワイシャツ。

「だってお腹すいたんだもん」

 買ってきた寿司や惣菜を手際よく皿に盛り付け、テーブルに並べていく。そばに立って、出来上がった皿を運んだり、箸や小皿を並べるのがオレの仕事。缶ビールと缶チューハイで乾杯する。

「明日、結婚情報紙買ってこようかな。実はそれだけは憧れだったんですよね」

「あー、よくCMしてるアレな」

「…前の結婚の時は?」

 ちょっと訊き辛そうな表情がいとおしい。

「元嫁さんは買ってたみたいだけどな。実は見たことない。結局入籍だけで式はしなかったし」

「…今も元奥さんと連絡取ったりしてる?」

「いや。離婚届出しに行った時が最後。財産分与も、慰謝料もなかったから連絡もしてない。子供も認知しない、今後一切かかわらないって条件も最終的には認めさせたしな。風のウワサで不倫相手と再婚して、男の子が産まれたって聞いたのが最後ただよ。今どこで何してるのかも知らないし、興味もない」

「子供、いるんだ…」

「オレのコじゃないぞ。その頃ものすごく忙しくて帰れなかったんだ。子供は欲しくないっていうから結婚してからもずっとゴム着けて避妊してたし、アイツがオレの単身赴任先に来たことは一度もない。後から知ったことだけど、結婚するずっと前からソイツと付き合ってたらしい。知らぬは亭主ばかりなり、ってな」

「ごめんなさい、嫌なこと訊いたよね」

「いや。大事なことだろ?ルカに知られたくないような、墓場まで持っていかなきゃいけないような秘密はないよ。ほら。ルカ、サーモン好きだろ?そっちの貝と交換するか?」

 こくんと頷いたルカの皿にサーモンをのせ、赤貝を回収してやる。

「明日買ってきたら、一緒に読もうな」

「はいっ」

 キラキラした笑顔と気持ちのいい返事。これからもずっと大切にしていこうと、もう一度心に強く誓った夜は、静かに更けていった。


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