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祭りの日の儀式
【若奥さん 官能小説】

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元村家の場合-1

 元村家は、代々、町の重職を担ってきた家系だ。
 祖父は、町の助役を務め、父も40代で早逝したが、いずれは要職にと言われていた人物。
 悟も、お調子者の一面はあるものの、社交性に富み、仕事も出来る。今後の出世も前途洋々といったところだ。
 臣吾とは、保育園前からの幼馴染であり、親友でもある悟。馬鹿話は、山ほどしてきたけれど、下ネタはあまりしていなかったと思う。
 悟のこととはいえ、何故か臣吾までドキドキし始めていた。
 それは、この場にいる全員がそのような状態であった。ワクワクして待つ奈々子を除いては。

「うちは、アナルだよ」
 悟は、いきなり核心を曝け出した。
 奈々子以外の全員が、体が熱くなり、頬が紅潮するのが分かった。
「アナルプレイが、ご先祖からのお達しさ。昔の言い回しで、肛門性交って書いてあったよ」
 淫猥な言葉を聞いた百合子は、その瞬間僅かながら眉が吊り上がり、頬の口角辺りがピクついた。
 そして、全員が、悟のペニスで尻穴を貫かれて悶える久美を想像した。

「みんなはアナルセックスだけを想像したかもしれないけど、それだけじゃない。俺も久美からアナル責めを受けるんだ。いわゆる前立腺マッサージってやつだよ」
 なんと、男の側から一方的に女性を責めるだけではなく、元村家では、女から男の菊穴を責めるターンもあるというのだ。
「ただ男側から一方的に責めるのではなくて、互いに責めて責められてっていうのが、うちのやり方なんだ」
 この中の男性陣で、本格的なアナル責めをされた者はいなかった。
 奈々子も、好奇心から数回試しにやってみたことはあるものの、実践出来るほどの経験はなかった。
「俺がその話を聞いたのは、亡くなった祖父さんが、いよいよって時期に入った時だった」
 悟は、プレイ内容から一旦離れ、言い伝えを聞いた経緯を話し始めた。

「たまたま、入院先の病院に着替えを持っていくことになって、俺一人で行ったんだ。その日は、じぃさんも調子が良くて、いつもより口調もしっかりしていた。段々と、衰えてきているのは実感していたんだと思う。元気に話せるうちに、お前に話しておかなければならないことがあるって、切り出されて」
 3世代後に託したこと、元村家代々の家訓的なものであること、このことを知っているのは、そのじぃさんだけであること。そして、内容は全く知らないとのことを告げられた。
 それは、庭にある蔵の一番奥の箪笥にあるとのことだった。
「聞いた時は、神妙な気持ちになったよ。何せ、3世代以上前からの伝承だと思ったからさ。言われるままに、蔵の中に入って見つけ出したよ」
 そうだろうと、臣吾は思った。臣吾だって、最初聞いた時は、背筋がピンとしたものだった。
 悟は、それを発見した時の状況を話し出した。

「言われたまんま、その場所を探して、それは簡単に見付かった。先祖代々と聞いていたから、もっと古惚けて、埃の被った、小汚いものを想像していたんだけど、それはすごく綺麗で、埃一つ被っていなかった」
 見つけた状況も、非常によく似ていると臣吾は思った。
(俺も、古惚けたものってイメージしていたのが、思いのほか綺麗で、あれって思ったんだよな)
「その場で開いてみても良かったんだが、綺麗だったから、埃まみれの場所では何だかまずいような気がして、部屋に戻って開いてみた」

「最初それを見た時は、はぁ!?って思ったよ。だって、アナルセックスすれば、家族が幸せになるって言われたって。そんなの真に受けられないでしょ。臣吾から相談を受けた時、臣吾も同じように感じたって言うから、他のみんなも、遠からず、同じような感覚だったと思う」
 他の伝承者たちも、小さく頷いた。
 衝撃の受け方に違いはあっても、それ相応の違和感は感じたものだった。
「で、ことの真偽っていうか、何だこれ!?って感じで、じぃさんに確認しに行ったんだ。みんなも知っての通り、うちの家系は、この町の中枢部分で働かせてもらっている。じぃさんよりももっと前の世代もそうだったってことは、聞いたことがあった。つまり、それなりに、常識的な部分は持ち合わせていた人たちだと思うんだ。それなのに、このエロな内容はどうもリンクしない。だから、じぃさんに聞いてみた」
 臣吾の場合は、じぃさんには聞かなかった。内容が内容だっただけに、聞くのが恥ずかしいと思ったこともあるが、善兵衛さんから託されたのは自分なのだから、自分だけが知っておくべき秘密だと思ったからだ。
「でも、結果として何もわからなかった。じぃさんも、ただその家訓を守ってきただけだったから。だから、結局は自分で解決しなければならないんだと思ったよ。それで俺は、その内容を信じ、行動に移したってわけさ」

 悟は、軽くフゥと息を吐いた。
 カミングアウトして、気が楽になったんだろう。
「実際にしてるんだね。悟ん家は?」
 奈々子が興味有り気に聞いた。
「まあね。恥ずかしながら、アナルしてます」
 自信家の悟にしては珍しく、少しうつむき加減で、奈々子の問いに答えた。
「内容はね・・・・・・。プライバシーにもかかわるし、これ以上問い詰めるのもどうかなって思うんだけど」
 奈々子が少し神妙に言った。
 本当は、根掘り葉掘り聞きたいはずなのだが、こういうところが常識的で、理知的なところなんだろうなと、臣吾は思った。
「そうだな・・・・・・俺も、腹を括ったとはいえ、実際の場面となると、かなり恥ずかしいな」
 悟も本音を言った。
「いいんじゃないの。そのリアルな部分は、個人の考えに任せて、言いたい人は言えばいいし、言いたくなければ、強制する必要はないんじゃないかな」
 普段は、口数の少ない大信だが、この場では積極的に発言している。
「うちは、披露させてもらうつもりだけど」
 大信の言葉に、百合子の頬が更に引き攣った。


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