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誓いのペンダント
【兄妹相姦 官能小説】

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誓いのペンダント-26

夜。いつものように眠れない。
 唯は寝ているだろうか。義母に唯が帰っていることを話した。「そう・・・」としか話さなかった。食事を持っていったのは知っているが、それ以外のことはしていない。そっとしておくのが一番だと思っているのだろう。
 唯をここまで追いつめたのは自分だ。浩之ははっきりそう思っていた。唯を白木から守るべきだった、というのではない。浩之は唯にあまり関わるべきではなかった、ということだ。
 唯は不安の強い人間だった。外からは、それはわからないが、心の中は不安で一杯のだった。浩之はそこにつけ込んだ。唯の不安を取り除くように振舞、信頼を勝ち取ろうとした。唯に安心を与える。浩之はそれに酔った。だが、その結果がこれだ。浩之が唯を独占したいが為に行なった行動が、唯を不安をますます強めていってしまったのだ。
 自分が唯をどうこうするという話しは、思い上がったことなのかもしれないが、少なくとも、唯にとって浩之は不要の存在だったのだ。
 浩之は起き上がると、階段をおり、台所に向かう。冷蔵庫を開けると、ジュ−スをコップについだ。椅子に座る。
 ついだのはいいが、飲む気がしない。そのまま、もてあそぶ。
「私にも頂戴・・・」
「唯・・・」
 気がつくと唯がいた。穏やかな顔をしていた。
 浩之は唯にジュ−スをついでやる。
「ありがとう、お兄ちゃん」
 唯も椅子に座る。しばらく、沈黙が続いた。
「お兄ちゃん。これ、覚えてる?」
 唯はそう言って、胸から不細工なペンダントをとりだした。
「ああ。俺が作ったやつだな」
 誓いのペンダント。あの時、浩之は唯を守ると誓った。ふと、あれが自分を狂わせたのかもしれない、と浩之は思った。
「ふふ、へたくそよね」
「そうだな」
 また、沈黙。唯がコップをもてあそぶ。
「ねえ。あの時のこと、覚えてる?」
「ああ・・・覚えている」
「そう・・・私、あんまり覚えてないの」
「そうか。まあ、そっちの方がいいな。あんまり楽しいことじゃないし」
「そうなの? 私、なんか、すごいうれしかったの覚えてる」
「・・・・・・」
「お兄ちゃんが助けてくれたのは覚えてるのよね。すごい嬉しかった。これを持ってれば、どこにいても助けてやるって。お兄ちゃん、格好よかったな」
「そんなに、いいもんじゃない。あの時は、親父に行けって言われたから行ったんだ」
「それでも、私、嬉しかったよ。お兄ちゃん、あれから、本当に守ってくれたじゃない。いつも私のこと見守ってくれて・・・」
「俺はお前にあやまらなくてはならない」
 唯が浩之を見る。
「お前にとって、俺はいないほうが良かった。お前と距離をおいて、わかったことだ」
「・・・・・・どういうこと?」
「俺はお前のことなんて本当は何も考えてはいなかった。ただ、自分さえよければよかったんだ」
 唯はじっと聞いている。
「お前は私とヤリたいかと聞いたな。その通りだよ。ただ違うのは、俺はずっと前からそう思っていたということだ。お前が兄としていた男は、ずっとそんなことを思ってたんだよ。俺はお前にそれがばれるの恐ろしかった。だから、ひたすら兄として振舞ったんだ。俺はお前を騙していたんだ・・・」
「そんなことない! お兄ちゃんは、私に優しくしてくれたじゃない・・・」
「それは、お前に気に入られたかったからだ。本当の兄なら、そんなことは思わない」
「そんな・・・そんなことないよ・・・お兄ちゃんは・・・」
「俺とお前は兄妹ではないほうがよかったな。それならば、お互いに傷つくこともなかった」
「寂しすぎるよ・・・そんなの・・・楽しいことも、いっぱいあったのに・・・」
「確かに、楽しいこともあった。だが、その代償も大きかった」
 唯が泣いている。慰めの言葉をかけようとは思わなかった。
「私が・・・私がいけなかったの・・・」
「いや、お前は悪くない。悪かったのは、俺の方さ・・・」
 浩之はそう言うと、立ち上がった。結局、ジュ−スは飲まなかった。浩之はそれを流しに捨てると、立ち去ろうとした。
「お兄ちゃん・・・私、信じてるから。お兄ちゃんは約束を守る人だって。私、ずっとあのペンダント持ってるから・・・」
 あのペンダントが間違いの始まりなんだ。そう言おうとしたが、唯の瞳を見ると、言えなくなった。
 浩之はそのまま立ち去る。
 唯の泣く声が聞こえたが、浩之は振り返らなかった。


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