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マリア
【その他 官能小説】

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マリア-3

 「タオルは分かるけど、化粧品もソープ嬢に売るんですか?」
 「はい。化粧品というのはローションのことで、お客様にサービスをする時に使う特殊な物なんです。ぬるぬるしていて潤滑油の役割をするのでございますが、これが口に入れて、たとえ飲み下したとしても何ら害がないという特別なものなんです」
 「ああ、なるほど口に入ってしまうこともある訳ですね。それで入浴料とかサービス料というのはいくらくらいのものなんですか?」
 「それは千差万別でございますね。入浴料は高い所では5万円などというべらぼうな店もあって高いのを売り物にしたりしているのですが、一般的には1万円前後、安い店で5000円という感じですか。近頃はタイムサービスなどと申して午前中は3000円とか、学生は学割で3000円などという所も出てきておるようです」
 「午前中から営業しているんですか」
 「はい。主に朝帰りのお客様が対象なんですけど、近頃のように不景気になると朝帰りというのも大分減りましたですね」
 「そうでしょうね。それでその5万円というべらぼうな店でもこれは無料にしてくれるんですか」
 「はい。私どもの組合で全額負担します。まあ、そうした店はこのサービス券に対しても多額の負担金を出しておりますから同じ事なのでございます」
 「ああ、なるほど。それでサービス料というのは、すると個々のソープ嬢と個別の交渉をして決める訳ですか?」
 「それはそういう余地も勿論あるのですが、大体は店で決めておりまして、2万円前後の所が多いですね」
 「はあ。結構高いもんなんですね」
 「そうですね。近頃は盛り場で不良外人女性が男を誘って売春するというのが多うございまして、いわゆるタチンボというやつです。それらは私どもが調査したところによりますと大体1万5000円から1万円でやっているようなのです。まあホテル代はお客の負担になるようですけど、3時間で3000円といったところがいくらでもあって、つまり合計しても2万円にならないわけです。これも私どもには大打撃なんです。ああした違法な輩は厳重に取り締まって頂かないといけませんね」
 「そうですか。いや、そうですね」
 「ええもう、何しろ世界中から来るんです。南はコロンビア、ブラジル、北はロシアからノルウェー、西はルーマニアとかポーランド、それから近くはお隣の韓国、中国、もうちょっと離れて東南アジア各国といった案配ですね。そうした方面に詳しい者の話だと世界中の殆ど全部の国から来ているようなんでございます。私どもアフリカの小さな国なんて、名前を聞いても知らないような所が多いんですが、そんな所からも来ていると申すんでございます」
 「するとそれは黒人ですね」
 「ええもう黒人も黒人、唇はこんなだし、髪はチリチリ、お尻はホッテントッドみたいに異常に突きだして、そんなのを金を出して抱こうという日本人がいるなんて想像も付かないんですが、帰らない所を見ると結構商売になっているんでしょうね。信じられないことです」

 祐司は結構悪趣味と言うか変わったところがあって、黒人ならば買って抱いてみたいと思って聞いてみたのだが、水田の憎々しげな悔しげな様子の言い方を聞けば反論など出来ない。

 「そうですね。まあいろいろな男がいるっていうことなんでしょうね」
 「本当ですね」
 「水田さんは組合の理事長さんでいらっしゃるということは、ご自分でもソープランドを経営なさっていらっしゃるんでしょうね」
 「はい。吉原に5軒持っております」
 「5軒ですか。するとソープ嬢も全体では随分使っていらっしゃるということになる訳ですね」
 「はい。全体で200名は下りませんね」
 「200名。そんなに大勢ですか。1店舗当たり40名になりますね」
 「はい。早番・遅番とありますし、店はソープ嬢に給料を払いませんから、いくらでも応募してくれば雇ってしまうのです。それに出勤も全く自由で予め連絡さえすれば欠勤しても宜しいということにしております」
 「給料は無いんですか。自分で稼げということなんですね」
 「はい。給料を払う店も勿論あるんですが、そういう店はサービス料も全額ソープ嬢の収入になる訳ではありません、当たり前ですけど。そうしますと未経験者を雇うのには都合が宜しいんですが、やる気のある売れっ子は集まりませんですね」
 「なるほど」
 「それに私の所のようにサービス料は全部ソープ嬢の収入ということにすれば、ソープ嬢がやっていることに店はノータッチなんですから、売春防止法違反があってもそれはソープ嬢だけの問題ということになる訳でございます」

 そうだろうか。弁護士経験のある祐司はそれは違うだろう、確かそういう例を管理売春で有罪にした判例があった筈だと思ったが、別に反論したりはしなかった。水田の誤解を解いて不興を買う程おせっかいでは無い。



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