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マリア
【その他 官能小説】

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マリア-13

 「ああ、有り難う。気持ち良かったけど、今僕が出した物はどうしたの?」
 「どうしたって、なんですか?」
 「いや、何処に捨てたのかと思って」
 「ああ、此処です」
 マリアはそう言って自分の腹を指さした。
 「えっ? 飲んだの?」
 「はい」
 「いつも飲むの?」
 「ええ、慣れるとなんでも無いですよ」
 「しかし腹の中でうようよ精虫が動いていると思うと気持ち悪くないのかな」
 「そんなの感じませんねえ。中で死んじゃうんじゃないですか?」
 「まあそれはそうだろうけど」
 「さて、一服してからにしますか。それとも連ちゃんでやりますか」
 「何を?」
 「本番です」
 「本番ってセックスのこと?」
 「はい」
 「そうか。僕は入れる前に出しちゃって損したような気がしていたけど2回戦がある訳か」
 「それはそうです」
 「まあ。一服してからその気になったらやろう」
 「それじゃ適当に時間を見計らってからにしますね」
 「君のような仕事をしているといろいろなお客さんが来るだろうね」
 「ええ、それはもう老若男女を問わずっていうことは無いか。若い子から年寄りまで男ならなんでもありって感じですね」
 「だろうな。しかし君より稼ぎのある男の客は滅多にいない訳だから、何だか不思議な感じがするね」
 「そうですか」
 「うん。サービスを受けている方がサービスしている人より金が無いなんてちょっと面白いなと思って」
 「そうですか。でも私はそんなに金持ちじゃありませんよ」
 「だって生理の時も休まずに働いて自転車通勤とくれば金が貯まらない訳は無いじゃないか」
 「まあ、一生懸命貯めてはいたんですけどね」
 「ある日突然嫌気がさして目茶苦茶に使ってしまったとか?」
 「いいえ。ちゃんと初めの計画どおりの使い方をして無くなったんです」
 「ほう。良かったら何に使ったのか聞かせて貰えるかな」
 「そうですね。秘密なんだけどまあいいか。店を買ったんです」
 「何の店?」
 「スナックです」
 「ほう。スナックをやろうという訳か」
 「ええ。いつまでもソープ嬢って訳にはいきませんから」
 「そうだね。それじゃもう近々転業するということなんだね」
 「それがなかなか踏ん切りが着かないんですよ」
 「ほう。まあそんなもんだろうな」
 「出来れば此処のお客さんには1人も来て欲しくないんです。だから場所は親しいお客さんにも秘密にしてるんです」
 「なるほど。店に来て君とセックスしたことがあるという顔をされたんでは厭だものな」
 「そうです。て言うより、此処のママは元ソープ嬢なんだぜなんて言われたく無いんですよ」
 「ああ、それはもっともな話だな」
 「ええ。でもそうすると開店したってお客さんなんか来ないでしょう? スナックなんて通りすがりにフラッと入ったりするもんじゃ無いでしょう?」
 「そうだね。知らない店には怖くて入れないね」
 「だから店も買ったし設備もしたし、明日からでも開店は出来るんですけど、まだソープ嬢やってるって訳です」
 「なるほど。でもそうするといつになったら開店出来るというメドも無い訳だね」
 「そうなんです。買うまでは其処まで考えて無かったんですよね。買ってからそのことに気が付いたんです」
 「でも、財産だから減るもんじゃ無いし、持ってるだけでも悪くは無いと思うよ」
 「ええ、そう思って慰めてるんです」
 「まあ、開店当初は客が無くてもその内近所の人がボチボチ来るようになるし、それから次第に増えて行くもんなんじゃないのかな」
 「ええ。私もそう思ってます」
 「1年くらい遊んで暮らせるだけの金が出来たら開店するといいんじゃないのかな。1年もやってればお客も付くと思うよ」
 「そうですね」
 「あの、ちょっと飲みたいんだけど、それは別料金になるのかな」
 「あっ。そうでしたね。飲み物は全部只ですから」
 「そうか。それは有り難いな。何でもいいからブランデーの水割りが欲しいな」
 「はい」
 「ほーう。随分いい酒を用意してあるんだな」
 「だって入浴料5万円ですもん。それくらい当たり前ですよ」
 入浴料5万円も取るべらぼうな店もあると水田は言っていたが、自分の店のことを言っていたのかと思った。
 「ちょっと飲みにくいかも知れませんけど、ベッドに俯せになって飲んでくれますか?」
 「ああ、何で?」
 「マッサージしますから」
 「それは有り難いな」



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