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冬恋慕
【SM 官能小説】

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冬恋慕-7

あいつと寝たのかって、そのとき、かなり酔っていたコウジがあたしの肩を揺すって問いつめ
る顔には、あたしが知らない、彼の生身の獰猛さが酷薄に浮かんでいたの。あたしは彼にこれ
まで感じたことのない毒々しい欲望を感じたのよ。あたしは男に縄で縛られたことを告げると、
彼はあたしの両手を傍にあった荷造り用のロープで後ろ手に縛り、ベッドにうつぶせに押し倒
し、お尻だけを上げさせ、太腿を開かせたわ。そのときあたしに懐かしい胸奥の鼓動が甦って、
なぜかコウジに対して心もからだも冴え冴えとしたものになって肉密の奥がいつもと違って夥
しく濡れたわ。それは彼の優しい愛撫ではなくて、とても烈しいもの……背後から嫉妬で熱く
なった指先であたしの乳房を鷲づかみにして肌に血が滲むくらい爪を立て、怒り立ったもので
股間をまさぐり、まるで陰毛を削ぐようにものを背後から無理矢理あたしの中に突きたてねじ
入れたわ。それはいつもの彼のものと違って、とても堅く、それでいて拡がりがあって、重く
て、濃厚で……それはあたしの肉襞に嫉妬というガラスの破片を擦り込むように掻き、渦を
巻くように捩じれながら執拗にいたぶり続けたの。そして腿のあいだをあたしが垂れ流した汁
はとても芳醇で新鮮な香りとともに結晶となってきらきら煌めいていたような気がしたの。

Sでもない、かといってMでもないあたしたちの関係に必要なものは、愛し合うという錯覚で
はなくて、互いを突き放し、ふたたび引き寄せる狂おしい欲望という現実なのよ。あたしは
結局、セックスをしたがるコウジを肯定しながらも否定していたのよ。どんなに彼があたしに
対する愛を装っても、あたしを愛することに苦痛を感じるくらいの欲望。あたしはコウジに
心から欲望されたかった、欲望されるからこそあたしは彼に与えることができるものがある、
そう思いたかったわ。あたしの差し出したハイヒールに接吻し愛撫する客も、鞭を欲しがる客
も、蔑む言葉を欲しがる客も、誰もがあたしに欲望を抱き、自らの中に失った女性に対する愛
を夢見て、愛の意味を探そうとしていているような気がする。あたしは客の欲望の対象として
描かれていたわ。彼らが妻や恋人に描ききれなかった未知の愛の対象として。あたしの客は
探し求めた愛を得ることなく、失って男ばかりだったわ。いや、もしかしたら人を愛する幸福
は失うことの快感と隣り合わせであって、悲哀と苦痛こそ彼らは愛だと思っていながらも愛す
ることにどんな深い意味もない、それはただの欺瞞にすぎないってこと、そんなことはあたし
の客たちにとって自明の理なんだってね。




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