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京子
【青春 恋愛小説】

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京子-9

 「だって戸山君から聞いたもの」
 「そうだっけ?」
 「誕生日に何やるの?」
 「何やるか来れば分かる」
 「人の真似するんじゃ無いの」
 「え?」
 「他に誰が来るの?」
 「だから村井さん」
 「他には?」
 「加藤」
 「他には?」
 「木村」
 「その他には?」
 「それだけ」
 「何で今まで黙ってたの?」
 「何が?」
 「今日だって昨日だって学校で会って話したのに何で薫の電話の後でそんな話するの?」
 「そんな話って?」
 「だから誕生パーティの話」
 「だって今決まったんだもの」
 「薫がそうしようって言ったの?」
 「姉さんが言った」
 「お姉さんが?」
 「うん」
 「まあいいわ。行くことは行くけど明日詳しく話聞かせてね」
 「詳しくって言ったって話は今言ったので全部だけど」
 「いいの。それじゃ明日ね」
 「うん」

 翌日陽介は学校で京子から尋問を受けた。

 「昨日薫から何時頃電話があったの?」
 「さあ、俺、木村のうちに何時頃電話した?」
 「7時半」
 「それじゃそのちょっと前」
 「何て言って来たの?」
 「何てって・・・」
 「2人が喋ったとおりに話してごらん。要約したりしないで」
 「だから、もしもしって」
 「うん、最初は誰でも、もしもしだよね。それで?」
 「それで・・・」
 「待って、最初に電話に出たのは陽介なの?」
 「あ、違う。姉さんが出ておかしくなったんだ」
 「どういう風におかしくなったの?」
 「姉さんが『室井から電話だ』って言うから」
 「『室井から電話』だなんて言う訳無いでしょ? 『室井さんから』とか『室井っていう子から』とか言ったんでしょ? 省略しないで喋ってごらん、思い出して」
 「『室井さんって子から』って言ったのかな」
 「うん。それで?」
 「だから『あいつが俺に何の用なんだ』って言ったら『いいから出なさい』って」
 「それで陽介が出て何と言ったの?」
 「えーと。『今度の日曜にささやかなお祝いをしよう』って」
 「省略すんじゃ無いの。佳枝から電話が掛かってきたと思ってたんでしょ? 声で直ぐに間違いが分かったの?」
 「ああ、分かんなかった。可愛い声してるから『お前って意外に可愛い声してんだな』って言った」
 「そしたら何だって?」
 「『有り難う』って」
 「それから?」
 「『今度の日曜にささやかなお祝いをしよう』って」
 「それで何と答えたの?」
 「『うちはそういうのやんない』って」
 「佳枝にそう答えたの?」
 「室井じゃ無い。村井さんだったんだ」
 「いつそれが分かったの?」
 「『室井さんと間違えてるでしょう』って言ったから」
 「それで分かったのか」
 「うん。どうも声が室井にしては可愛い過ぎると思ったんだ」
 「それでどうしてうちはそういうのやらないのに、やることになったの?」
 「姉さんが電話取って急に決めたんだ」
 「姉さんが電話取って?」
 「うん」
 「姉さんが横にいて聞いてたの?」
 「テレビ見てたけど聞こえるんだ。うちの電話感度がいいから」
 「なるほど分かってきた。女の子から電話が来たんで姉さん聞いてたんだ」
 「そうなのか。テレビ見てるんだって言ってたけど聞いてたのかもしれないな」
 「それで女の子とデートしようとしているからそれならどんな子か見てやろうっていうんで、家に呼んだのね」
 「あ、そういうことなのか」
 「どういうことだと思った?」
 「どういうことかと思った。急に電話横取りして『パーティやるのに誰も来てくれなくて困ってる』なんて言い出すから頭がおかしくなったのかと思った」


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