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僕は14角形
【ショタ 官能小説】

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僕は14角形-34


25

 iPhoneのメール着信音。僕はバッグからiPhoneを取り出し、すっと人差し指を滑らした。「メールを受信しました」とのメッセージ。
 といっても、友達の居ない僕にメールが来るのはAppleかAmazonだけだ。たいして気にしないでメールアイコンに触れる。いつものぐ〜るぐる。

 差出人:伊集院郁夫

 僕は瞬間的にiPhoneをバッグに放り込んだ。そっか。それがあったか。
 自分でも解るほど頬が紅潮するのが解る。心臓がばくばくいって、掌にじんわりと汗が滲む。何なんだ、これ。座っているのに膝が所在なげに震える。
 脳裏に焼き付いた郁夫のはにかんだ笑い顔が僕の心を焼く。
 バッグに伸ばしかけた手が震え、膝元に戻ってしまう。僕は自分で自分を笑いたくなった。服がそうさせるのか、挙動がほとんど女子になっているぞ。
 それでもぐっと気合いを入れてiPhoneを掴み出す。

 題名:映画を觀に行きませんか?

 この間はいきなり失礼。でも楽しんで頂けたようで幸いです。
 ONE PIECEの新作「STRANGE WORLD」のシークレット・試写会
 チケットが手に入りました。
 急遽手に入ったもので、明日の19:30渋谷のMOTER'S RIDEです。
 いくらなんでも急すぎるけど、チャンスなのでいかがです?
 ありきたりだけど、18:30にハチ公前で。

「ん? どしたの詩音」

 草冠いちごが絵筆を止めて僕を見た。

「いや、ちょっとメールが」

「誰? 友達なんかいたんだ。前の学校の?」

「関係ない営業メール」

 草冠いちごは華麗に絵筆を走らせ、横顔を向けながら笑う。ちょっと上を向いた鼻もキューティー。

「詩音は嘘が下手だねえ。顔色、真っ赤じゃない」

 うるせえな呼吸倍速なんだよ。まてよ? こういう場合逆に素直にした方が良いんじゃないかな。そもそもがまるごと嘘なんだから。僕自身が虚構なんだから、どう振る舞っても関係ないじゃないか。だってこの世界は僕とは関係ないんだもん。

「うん。映画鑑賞のお誘い。早い話がデートの申し込み」

 いちごが眼をまん丸くする。まあ、いつもそうなんだけど、ひときわ大きくしたいちごの眼ははっきり言って、極めて美しかった。

「だって、どういう? 詩音は男色家なんだから、当然相手は男性なんでしょうけど、詩音は限られた人間以外にとっては女性なんだし」

 本質的な矛盾をいきなり言い当てられてしまった。しかし「男色家」とは。さすがにお嬢様だけのことはある。

「んー、だから。恋人未満」

「ますます訳わからないじゃないですか」まったくその通りです。

「裏切り保証付きの変態性愛」

 いちごは絵画用エプロンの前で腕を組み、目を閉じて唸った。

「う〜ん、それなら適切かもしれませんね。しかし人として許される事でありましょうか? いちごには判りません」


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