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僕は14角形
【ショタ 官能小説】

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僕は14角形-1


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 僕は普通の男の子じゃない。同性愛者だ。

 だからと言って、筋肉もりもりで日焼けしてピチピチのタンクトップでハッテン場に行くとか、新宿二丁目で出会いを求めるとかフレディ・マーキュリーみたいな胸毛に顔を埋めるとか、そんなリアルな世界とはまるっきり無縁なこの四月に入学したての初々しい高等部一年男子だから。とは言ってもこの黎明学園は4・4・4制だから、正確には中学校三年で入学というのがちょっとイレギュラー。

 ただ、さっきから大胆に曝した生足の群れや爽やか清楚な髪の毛を見ても全くときめかない。おませな同級生が喋り尽くした豊かな胸への憧憬は全然無いし、柔らかい身体のラインとかくびれた腰とか太ももの絶対領域も興味がない。なによりあの高い周波数帯はなじめない。あのテンションも大の苦手だ。そもそも「可愛い」ってのは解る。「美人」「美少女」なんかはそうなっていると知っているだけで、ただの基準上の問題だ。僕は小学生の時から、誰でもすぐに呼び捨てにする。この悪癖はだいたい嫌われるが、人間を識別するだけの記号としか考えたことがないからそれ以外に呼びようがないので、一切改めていない。よって、友人も居ない。

 それより、駅から歩いてきた街中で見かけるちょっと年上の笑顔の爽やかなお兄さんが振り向いて笑ったりすると胸にハンマー。ロマンスグレイのおじさまのほろ苦い笑顔に心がちょっぴりジプシーの少年になって胸が締め付けられるのに気が付いただけだ。

 まあ、ついさっきね。今また大量の大根を並べられると、ますます確信する。14歳ってのはまだ人間になるのに時間がかかるのだろうか。この大根の根本にはオエーなあんなものがあるのだろうか。内蔵の裂け目のような図解を思い出して、僕は酷い寒気に襲われた。

 そういうわけで、この退屈な入学説明のオリエンテーションに真面目に椅子に座っている。生徒数が少ないからか、講堂とか体育館じゃなくて階段式の音楽室。高額極まりない授業料に見合うだけはある大きく音響設備も兼ねている充実の大きなホール。新入学生はざっと80名ぐらいかな。

 この黎明学園には制服がない。けど、今集まっている同級生の半分はおしなべてこざっぱりとほとんど白と紺を基調とした地味な服装をしている。廊下や階段で見かけた上級生は、かなりゆる〜いラフな格好をしていた。髪の毛も僕と違って色つきだ。かなり外人になるのに失敗した髪の毛ばかりだけど。そしてこの学校の初等部から「上がって来た」とおぼしき生徒もゆるい。その辺はちょっと安心。

 僕は事情があって、髪の毛を下ろしている。バイアスのかかったブラインドのように鼻先まで伸ばし、外部から観察すればそれはアキバ系オタクの前髪がついほったらかしましたという感じ。オタクという人種のおかげで僕は随分救われているのだ。ともあれ、これだけ多種多様な金髪茶髪パーマネントに混ざれば、これはただのアレンジにしか過ぎないのだ。心の中に湧き上がるこの悪意の微笑はなんなのだろう。

 今日の僕はモスグリーンのチノパンにゆったりしたグレイの薄手のシャツ、そしてお気に入りの黒のコート。このコートは凄く古いけどDCブランドとかいうおっされーなトレンチ。正体不明の柔らかいプラスティックのような布地で出来ていて、冬は暖かく、梅雨の時期になると涼しい。
 これは母親の形見で、どこかちゃんとした服装で居なければならないときにはだいたいこれを着ている。いくつかジャケットも持っているけど、僕は基本的に薄着だから、Tシャツか薄手のシャツの上に、季節に合わせて重ね着をするだけだ。というより、ほとんどが母親が着ていたものが多い。買い物は嫌いだし、サイズはぴったりだ。やっぱり親子だからだろうか。母親は「カッコイイ系」で女性にしてはかなり服の趣味が男並みにシンプルだったから。親子で横着なところも変わらない。でもそんなことに頭を使いたくないし、考えなくちゃいけないとき以外は僕は空想するのにめちゃ忙しいのだ。

 しかも僕の空想癖というのは限りなく現実味のある真っ黒な奴で、そっちのモードに入ると耳は聞こえないし口は動かない。空想じゃなくて妄想だろうか。しかし妄想というのはもっと欲望に満ちたものであるからして、これはレム睡眠に限りなく近い。意識はあるし事象もしっかり把握してはいるのだが。
 という訳で僕は現在マダガスカル東沖合550kmの深海500mを潜行中。


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