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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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蓮の決意-9

僕はそんな二人に声を掛ける事は出来なかった、けどここまで来て諦めたくもなく尾行を開始した。

「うへぇーつえーな巴!」
「ほほほ♪この伊吹巴様をなめんじゃないよ!」

近くのデパートのゲームコーナーで某太鼓ゲームをする二人。その様子はとても楽しそうだった。

「次、ダンスしよーぜ!」
「おおっ!ちょっと休もうぜ。」
「なーに言っちゃってんの!バイトでもやしっぽい私をリードしてくれたアンタはどこにいったの。」
「いや、あれはお前のフォローのし過ぎで。」
「むきーー疲れたのは私のせいだっていうのかねっ!?」
「…しょうがねーな、3分間待っていやる。」
「ム〇カ大佐?」

浮気をしている筈なのにあまりにも遠慮も躊躇いもミジンコ二感じられない、あの会話やノリは僕と付き合っている時は同じだ。

「くぅーアイスうめー。」
「だろう、いやーゲーゼンのアイスも格別だなぁーおい。」

……。

仲良くイスに腰を下ろしアイスを堪能する。

その姿はもはや幸せなカップル以外の何物でもない。

「巴。」

先ほどまで愛おしい恋人をアイツから奪って、取り戻してやろうとこんな夜遅くにここまで来たと言うのに。

楽しそうな彼女の横顔を目にする度そんな勢いが徐々に消えていき。

自分が何だかとても情けなくそして無力に見えて来た。

これほどまでに自分が嫌に思えた事があっただろうか。自身の情けなさに自傷行為をしたくて溜まらない。

やっぱり、僕なんかよりも。

この場が辛くなってきた。僕は逃げるようにばっとゲームコーナーを後にした。

うっ、うう。

夜風はまた一段と冷える。周りは追い打ちをかけるように若いカップルばかりだ。先ほどの光景のように皆とっても楽しそう。

もう、消えてなくなりたい…。


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