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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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蓮の決意-8

「ここか…。」

風馬君から聞いた話だとこの日の夜にバイトが上がるようで。

僕は遥か遠くまで行方不明者を探す探偵の如く、彼女、僕の巴が働いている職場まで辿り着いた。

この時にはもう日は沈んでいて、すっかり夜空が見えている。

僕は案の定ここで彼女が出てくるのを待つ事にした。

巴…。

自分自身でも不思議な感覚だ、巴が僕の大好きな彼女が傍に居ないっていうのにまるで何にも感じない。風馬君は柊さんが居ないだけで心にポッカリ穴が開くと言うのに。

僕自身本当はもう縁を切りたいと思っているのか、ただ単に恋人…の二文字に囚われて彼に背中を押して貰い巴を取り戻す…と決意しここまで遥々訪れたはいいけど。

僕は本当にそう思っているのか、本当によりを戻したいと感じているのか。

「あーもうっ!」

そんな不甲斐ない自分についイライラしてしまう。

しっかりしろ蓮!お前は巴の恋人だ、その恋人が傍に居ず別の男と一緒にいて平気な訳がないだろう。

そう自分に必死に言い聞かせる、果たしてこれが本心なのか、それとも。

「寒っ!」

この日も気温は冷たい、周りに人は居ない、たまに虚しく業務トラックが彼女の職場に入っていくのを見つめるくらいだ。

あのトラックから荷物でも届いて梱包したりしてるのかな…

目的外でそんな事をボーと考え。

入り口から人が出てくるたび期待の目を向けるもくたびれた社員が帰社する姿しかなく。

「……。」

一体何しているんだろう、僕。

ここで彼女に会えば何か掴めると思っているんだろうか?濁った心が吹き飛ばされて本来あった好きって感情が再び芽生えるとも考えているのだろうか。

ずっと待ち伏せをしているけどまるで来ない、日にちを間違えた?入り口はここじゃなかった?というより実はもう帰ったとか。

そんな不安がよぎっていると。

「あっ!」

するとようやく目当ての人物が出てきた、けどその安心感と同時に激しい嫌悪感も湧き出て来た。

「あ、あの人が…。」

風馬君の話通り本当に居たんだ。

目をそむけたくなる現実、巴の横には例の彼がいた。



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