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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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蓮の決意-10

翌日。放課後に僕は風馬君の家にお邪魔し昨夜の事を報告した。

「……そっかぁー、もうそこまで。」
「折角君にエールを送ってもらったのに、こんな…。」
「……。」

彼が淹れてくれたカフェオレをお互い一口も口にせず、湯気だけが昇り続け。

この日彼は部活も休みだそうで、僕は部活はあったもののあまり気分が優れないとコーチに言って休ませてもらい。

詳しくは話さなかったけど、その理由が女絡み何て聞いたら他の部員に笑われて何を言われる事やら。

やっぱ持つべきものは友だな、あの時彼がラーメン店で僕にしつこくよりを戻そうと言い寄ってきて、後々謝って良かった。

今更ながら僕も心にポッカリと穴が開き、言いようのない寂しさにのしかかれとても一人でいるのは辛い。

「ありがとね、傍にいてくれて。」
「……。」

無言でニコッと返事をする。学校でも何を言うでもなく隣に居てくれた。その気遣いにどれだけ救われたか。

柊さんが少し羨ましく見えて来た。

すると彼が考えに考え込み、ようやく重い口を開く。

「その人と楽しそうにしてたって本当?」
「それは…。」

そう問われ昨夜のゲームコーナーでの光景を想い返す。

「勿論だよ、僕や柊さんと居た時みたいに大笑いして。」
「本当?」
「信じたくはないけど、僕だって彼女はまだ僕と正式に別れてもないでこんな事してるんだから多少の罪悪感っていうか、少しはよそよそしいのかと思って、いや期待してたけどまるで。」
「そう思ってるのは一条君だけじゃない?」
「そんな事!」
「…まっ、僕は二人の仲を見てきてそれなりに理解はしているつもりだけどお互いの本心までは読み取れない訳だし、その光景だって僕が直接見た訳でもないし、彼女の恋人である君がそう思ったらそれが真実かもしれないし。」

落ち着いた口調で僕にそう語る。

「飲みなよ。」
「う、うん。」

出してくれたのにある程度放置して少し冷めたカフェオレを口にする。

「けど君は自分を追い込み過ぎて一つ大事な事を忘れてるよ。」
「え、何?」

カップを素早くテーブルに置き、目を見開き彼に視線を向ける。

「彼女の気持ちだよ。」
「彼女の…?」
「うん、君は昨夜の光景を見て伊吹さんはとっても楽しそうだと言ったね。」
「そうだよ、あれは。」
「そこにはきっと不甲斐ない自分何かスッパリ忘れて心の奥底から新しい人との恋に楽しんでるんだと。」
「うん、それ以外に。」
「やっぱり君は自分を追い込んでるね。」
「え?」
「彼女が伊吹さんが、本気で君を忘れて昨夜のデートを本気で楽しんでる…、僕には到底思えない。」
「風馬君…。」
「彼女の立場を思えば答え何かすぐに出る、彼女は躊躇ってる…そして君への罪悪感で一杯の筈だ。」
「…けど。」
「あんなの…まぁ見た訳じゃないけど本心な訳ないよ。」
「じゃー巴はやっぱり。」

確かに、僕ってば結局自分の事ばかり。

「一つそのアドバイスをあげるなら。」
「アドバイス何てそんな謙虚な言い方いいよ、説教でいい、ホントは怒ってるいや呆れてるんでしょ?あれだけ意気込んでおいて結局何も言えずそればかりか自分が無能で悪いことをしたか思い知らされて。」
「一条君。」
「っ!」

こんな僕に彼は怒るでもなくすっと暖かく抱きしめてきた。

「自分を追い込まないで、大丈夫、大丈夫だよ…君は何にも間違った事何かしてないただちょっとすれ違っただけなんだからさ。」
「風馬、君。」
「お互いを想った、けどそれが相手には上手く伝わらない、そんなの僕と若葉ちゃんの間でもよくあるよ。」

手を放し、元の体制に戻る。

「僕は、どうすれば…。」
「どうしたいの?」
「……。」

言葉が、詰まる。

「さっき言おうとした事なんだけど、君は一つ間違いを犯した。」
「それって。」
「自分でも言ったようにただ見てるだけで何も言わなかったいや話さなかった事だ、ちゃんと面と向かって。」

正論だ。頭の中じゃ言いたい事、聞きたい事たっくさんあったのに。

床に目を伏せる。

「…まだ電話出来ない?」
「っ!…それは。」

…自分からはとても、そんな虫の良い事を考えていたのが分かったかの如く。

「分かった、僕の方で何とかするよ。」

と、決心したかのようにスッと立ち上がる。

「ありがとう。」
「お互い様だよ。」



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