投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

紅い蝦蟇
【寝とり/寝取られ 官能小説】

紅い蝦蟇の最初へ 紅い蝦蟇 0 紅い蝦蟇 2 紅い蝦蟇の最後へ

-1

「涼子とうまくいっていないんです」
後輩のKから相談を受けたとき、私は驚きませんでした。

会社を辞めて起業して、2年ほどニューヨークに滞在していたKから、「帰国したので会わないか」との連絡を受け、有楽町ちかくのホテルのバーに呼び出されました。
 どうせ商売の成功を自慢されるのだろうと内心あまり乗り気ではありませんでしたが、とくにこれといって用事もなかった私は「まあタダ酒が飲めると思えばいいか」というぐらいの気持ちで、出かけることにしたのです。


 私とKはもともと同じ広告会社の先輩、後輩の間柄でした。といっても何度か仕事を一緒にした程度で、Kはまだ20代の優秀な営業マン、私はといえばこれといって取得のない中年の契約プランナーにすぎず、どうしてKが私になつくようになったのか、正直私にもよくわかりません。
 Kは会社にいたときから女子社員によくモテました。
 どことなくジャニーズタレントに似た色白で中性的な顔立ちと、スラリとした長身のKは女子社員たちから「王子」と呼ばれるほどでした。そんなKからことあるごとに「Yさん、飲みにいきましょうよ」と誘われるのは、たとえ同性であっても悪い気はしなかったのは確かです。会社を辞めて起業する、ということを最初に告げたのも私が初めてだったようでした。


「Yさんはどこか浮世離れしてるから、話してて落ち着くんですよね」
 褒められているのか馬鹿にされているのか微妙なところでしたが、Kの私にたいする親近感は態度からして嘘ではないようでした。
 おそらくは自身の上昇志向に疲れると、私のようなだらしのないうだつの上がらない年上の先輩と話すことで多少気が紛れたというのが本当のところだろうと思います。


 私がKとの付き合いを続けてきたのには、別の理由もありました。それはKの妻の存在でした。Kは会社を起業してから1年も経たないうちにニューヨークに発ったのですが、起業してまもないころに電撃的な結婚をしました。はじめて涼子を紹介されたとき、その美しさに私は自分でも戸惑うほどの嫉妬を覚えたことを覚えています。六本木ヒルズのパーティで知り合ったという涼子はそのころまだアメリカの大学から帰国したばかりで、Kの「代表取締役社長」という肩書きとルックス、Kの猛烈なアプローチに押されて衝動的に結婚した、というのはKからあとから聞いた話です。


 私は後輩の妻である涼子に、年甲斐もなくひとめ惚れしていました。
 当時涼子はまだ25歳。40歳に手が届くという自分にはあまりに年齢が離れすぎていましたし、Kと違って背も低くお世辞にもハンサムとは言えない私なんかとは到底釣り合わないことはわかっていましたが、初めて出会ったときから涼子に狂おしい感情を抱くようになっていました。結婚してから二人がアメリカに発つまでのあいだ、何度か二人の自宅に招かれて一緒に食事をしましたが、涼子とKの会話を聞きながら内心では胃の腑が燃えるほどの嫉妬を感じていたのです。
 涼子はタレントの杉本彩の若かった頃にどことなく雰囲気が似ていました。170p近い長身に、水泳で鍛えた日本人離れしたセクシーなプロポーション。どことなく女王様を思わせる涼しげな切れ長の瞳は、気弱な男を気後れさせるほどの色香を発散していました。私はKの性的嗜好を知っていたので、涼子と衝動的に結婚した理由がよく分かりました。Kはマゾヒストでした。私はKが池袋の有名なSMクラブに通っていることをよく聞かされていたので、おそらくは涼子ともそういったたぐいの女が集まるパーティで知り合ったに違いないと思っていたのです。


「それが……違うんですよね」
 結婚してしばらくしてからのこと。たまたま二人で飲んでいるときに、涼子との性生活についてKが語りはじめました。


紅い蝦蟇の最初へ 紅い蝦蟇 0 紅い蝦蟇 2 紅い蝦蟇の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前