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《夏休みは始まった》
【鬼畜 官能小説】

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〈屠られる幼畜〉-1





「裸で二人っきりなんて……うふッ…なんの話から聞こうかな?」


トントンと軽い足音を響かせながら、里奈は階段を下りていく。
此所は安楽を求める癒しの宿ではなく、淫獣が犇めく《館》へと変わっていた事すら知らずに……。


(あ…れ?他にもお客さんが居る……?)


温泉へと続く丁字路の正面の奥の方……つまり宴会場に続く廊下に、この旅館の浴衣を着た四人の男性客が屯していた。
その四人組は白髪の方が目立つ頭髪をしており、里奈の父親と同年齢の“オヤジ”だけで構成されていた。


(……なんか…あの人達……嫌…ッ)


里奈はその四人組に、とても強い不快感を覚えた……それは階段を降りる歩みを止めさせるほどで、しかし、何故そこまで嫌ってしまうのかは分からなかった……。


(こ、これが直感ってヤツ?こんな時、麻衣さんだったら……?)


こんな直感は嫌だな。と、一人愚痴りながら、さっきの麻衣の言葉を思い返した。


(深呼吸して落ち着いてから…考える)


下手な考え休むに似たりの言葉もあるが、里奈はただ階段の途中に立っているだけに過ぎなかった。

言葉の上っ面だけを真似たところで問題の解決には結び付かず、そもそもがなんの為に〈考える〉のかが理解出来ていなければ、それは猿真似に過ぎないのだ。


(い…一旦部屋に戻った方が……で、でも…ッ!?)


不快感は突如として恐怖感へと形を変えた……。

いま麻衣は露天風呂に一人きりだ。
つまり全裸で同じ旅館の敷地内に居る事になる。

女将や仲居やフロントスタッフも居るのだから“よもやの事態”はあるまいが、それでも里奈は堪らなく怖くなり、とりあえず麻衣にあの四人組の事を伝えなければとの思いを強く抱いた。


『おや、里奈様も温泉に行かれますか?』


ひょっこりと階下に顔を覗かせたのは、にこやかな笑顔が素敵な中原だった。
やっぱり大丈夫なんだという安堵と、それでも収まらない胸騒ぎの二つの感情を抱えた里奈は、中原の笑顔を信じて一階に降りた。


「……あ、あの……失礼だけどあの人達って?」


中原を楯にするようにして里奈は背中を丸め、ヒソヒソ声であの四人組の事を聞いた。
宴会場に繋がる廊下を行ったり来たりしてる挙動不審なオヤジ達の正体を、やはり探らずにはいられないようだ。




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