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母子相姦のある風景
【母子相姦 官能小説】

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銭湯-1

マンションから歩いて10分足らずのとこに古い銭湯がある。
引っ越した日に部屋の窓から景色を眺めていると、立ち並ぶ民家や商店の屋根からにょきと頼りない細い煙突が伸びているのを見つけた。
今どきこんな町中に銭湯があるのかと思って、実際に探して見つけた。
思ってたより細い軒先で、住民が徒歩や自転車でやってくるような小さなとこだ。
入場料大人500円小人300円という表記がされたタイルが色あせてて、もう長い事価格が変わってないんだろう。
狭い商店街の片隅にそっと建っている佇まいで、大きな浴槽だけでサウナもカラオケもない昔気質の作りだ。
おそらく客はほとんど近隣住民ばかりでたまに物好きの銭湯好きが来るくらいだろう。
壁に描かれた富士山のペンキ絵だけがやけに真新しいが、それ以外のタイルは色あせていて、昔の市民プールみたいだ。
その鄙びた雰囲気が気に入ってたまに月に一、二度くらいは部屋の風呂でなく銭湯に通うようになった。

冬場になると10分足らずの道のりがなかなかしんどい。
人気がない商店街だからか、冷え切ったアスファルトを歩いていると芯まで冷えてくる。
そんな外の冷気に身をさらしてトボトボと歩いていくのが億劫にも感じる。
だから家を出る前には少しばかり酒を入れてしっかり防寒着もしてから出かけるようにした。
そこまでして出かけないといけない訳でもなかったけれど、凍えかけた身体で大きな湯船に浸かる心地よさはそれまでの苦労も報われるように思えて悪くないと思う。
付近の道路は補装されているが、その分冬になると余計に冷え込んでくるような気になる。
街灯が少ないからかもしれないが、多分空いている店や通行人が少ないからかもしれない。
子供の頃通っていた通学路の途中に墓場があって、そこを通過する時をちょっと思い出す。
自然と早足になる。
そうしてようやく銭湯にたどり着くと心底ほっとする感覚を味わうことが出来た。

つい半年前に今のマンションに引っ越した。
真新しい建物だけど空室が埋まらないままだからか、広告で表示されていた家賃より5000円ほど安く入れた。
寂れた商店街しかない地価の低い土地だからこの辺りのマンションはどこも似たようなものなんだろう。

引っ越してくる前は実家に住んでいた。
父が亡くなってから一人暮らしになった母のために実家に戻ったんだ。
それから八年間ほど俺と二人で暮らしていた母は昨年死んだ。
久しぶりに父に会えて母も喜んでいるんじゃないかと思う。
9年前に鬱を患っていた父は自殺だった。
定年退職まで残り1年といった頃だったのに父は突然近所の電車に飛び込んで、母と俺からひどく遠くに行ってしまった。
銭湯への夜道を歩いていると、突然電車に飛び込んだ父が最後に何を考えてたのかばかり考えてしまう。

越してきた町は大正から昭和にかけて成長し、昭和40年代にピークを迎えてゆっくり衰退してきた典型的な地方都市だった。
遠い昔なら最先端だったろう企業団地が今や廃墟のように町中に点在している。
誰も住まなくなった社員寮や倒産して稼働しなくなり随分経つ工場。
そしてそれらの人を当てにして発展してきただろう寂れた商店街。
その内に全て取り壊されてマンションか駐車場にでもなってしまうんだろう。

「この町は慣れたかぁ?」
顔なじみになった銭湯の主人が人のよさそうな顔をして訊いてくる。
まだ60代くらいだろうか。
両親を亡くし、実家をどんな思いで整理して引っ越してきたのか、誰にも話してない。
「まあ、そうですね」
そんな風に調子を合わせて答えていた。
衰退都市は住むところとして悪くはない。
悪くはないけれど、もう終わった落陽の町に住むのは気が滅入る時もある。
そんな事は長くここで暮らしてきた住民に悪いから言えないけれど。

静かな土地は悪くはないけれど、見慣れぬ町の風景は今も違和感を感じないことも無い。
都心部にあった実家と違って、シャッターが下ろされた店や誰かが住んでいるとは思えない旧家が立ち並ぶ町並みはゴーストタウンのようでもある。
子供の頃に見た終わらない悪夢の中をさまよった時に似た不安感を思い起こされる。

その日の客は僕が一番先だった。
一番風呂で独占出来るのはなかなかない。
優越感とちょっとだけ孤独感を感じながら、広い湯船で足を伸ばして目を閉じた。
少ししたら脱衣所の方から話し声が聞こえてきた。
他の客は若くとも60歳以降くらいの年配ばかりで、子供どころか若者も見ない。
地域の人々の交流の場でもあるんだろう。
壁を隔てた女湯から聞こえてくる声もいかにも若くない年配の女の声ばかりだ。
水音と共に時折話し声も聞こえてくる。

何でわざわざ銭湯に行っているのかといえば、やっぱり人の気配が恋しかったんだろう。
真新しいマンションの高層の部屋はあまりに静かで、他人の存在が希薄だ。
年配者ばかりとはいえ、そこに根を張って暮らしてきた住民の日常の声を耳にしながら湯船に浸かっていると、何かが紛れるような気がするからだ。
もう一度腕を伸ばして軽くストレッチをして堅くなった身体をほぐす。
冷えて固まったままになったモノを少しでも溶かすように。



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