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母子相姦のある風景
【母子相姦 官能小説】

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第一話 ラーメン屋-1

子供の頃、日曜日の昼食の時に突然今日は出前を取ろうという運びになることがあった。
時折母が楽をしたかったのか、外食をあまり好まない父も頷くことが多かったからか我が家ではしばしば出前を取っていた記憶がある。
個人的にも外食より出前のほうが特別な感じがして好きだった。
そういえば当時は出前を注文する事を「店屋物を取る」と呼んでいた。
余談だけど、元々店屋とは昔の駅にある食事処を言うんだといつか父に言われた事がある。
そういう店から料理を取るというのがある種のステータスだったんだろうと。

あの頃は田舎なのでまだピザは選択肢にはなかった。
というか我が家が配達エリアに入っている店がなかったというべきだ。
だから近所の蕎麦屋か中華屋ばかりで、蕎麦屋だと丼物かそばになってしまう。
それだと普段とあまり変わらないから、どちらかといえば出前は中華の方ばかりが多かった。
その店はラーメン屋というよりはいかにも町の中華料理屋といった風で、近所の商店街の一角にある年季の入った佇まいの小さな店だった。
老夫婦とその子供の三人家族でやっている店だった。
子供といってもとっくに二十歳を過ぎていた。
出前にやってくると話し方が舌足らずで抑揚の強い話し方なので、聞き取りにくい。
悪いけどちょっと知恵足らずの雰囲気があったが、その人がいつも出前持ちをしていた。

昔から何度も出前を頼んでいた割には不思議とその店に行ったことは一回しかない。
高校生の時に学校帰りに友達とふらっと立ち寄った時の事だ。
応対に出てくれたおばさんは電話で話した時よりも年を取って見えて、ちょっと意外に思えたのを覚えている。
注文をした後でおばさんが厨房に伝えると赤い暖簾の向こう側から返事があって白いエプロン姿の主人が調理を始めるのが見えた。
その日は出前役の息子の姿は無かった。
店で食べたラーメンは普段出前で取った時と比べて、やけに美味しく感じた。
これが出前と出来たての違いかと思い、また来てみようと思った。
しかし、結局それっきりだった。

だいぶ経ってからその中華料理屋があったところは周辺の何軒かの店と合わせて更地になっていた。
無くなってみるとそこは想像していたよりもずっと狭くて、ここに幾つも店舗があったと思えないくらいだった。
更地の入り口に立ち入り禁止の黄色いロープがかかっていて、その脇には建設会社の立てた建設予定地案内の看板が立っていた。
何か月もすれば新しいマンションが建つのだという。

そんな話を家でしていた時の事だった。
僕はずっと知らなかったが、母が言うにはあの店を経営していた夫婦は本当は親子だったのだという。
そうだっけ。
たしかに思っていたよりもおばさんは老けていたし、赤のれんの向こうに見えた主人はちょっと若い声に聞こえた気がした。
へぇ…そう相槌を打った後で、ふと思った。
じゃああの知恵足らずっぽい息子は誰なんだろう。
もしかしたら実際に親子の間に出来た子供だったのだろうか。
店を畳んだ今、あの三人はどこに行ったのだろう。
移転費用でどこか別の土地に移ってまた中華屋をやっているのだろうか。
今となってはもう知る由もない事がとりとめもなく浮かんできた。

「まあ、そう珍しいことでもないわよね」
そう言って母は髪を直すと僕の部屋を出て行った。
それから僕は窓を開けて部屋に籠っていた熱気と性の匂いを追い出しにかかった。
窓からは少し離れたところに建設中のマンションの外壁が見えた。



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