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「夏の出来事 5」
【若奥さん 官能小説】

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答え-3

ご飯を食べ終えて
お風呂を沸かしている間、
2人はソファーに
座りテレビを観ていた。

CMになるとタクミが
ふと思い出しジーパンのズボンから
あるものを取り出そうとする。

「ねぇ、、ほら、これ。
   つけてみた〜 」

「? 、あ。 」


タクミは手に
ちづるがプレゼントした
ダークグリーンの
キーケースを持っている。

ボタンを外し、
中の鍵をちづるに見せる。

鍵が、2つ付いている。

どちらも同じような形だ。

2つとも、ここの市営住宅の鍵だと
すぐに分かる。

ちづるが言う。

「どっちが、ここの?」

「ん? 見分けつかないから〜
俺んちのはマジックで、、ほら 」


「ぁ。 」


タクミの家の鍵に
黒い点が書いてある。

背中を丸めて
両足をソファーに乗せている
体勢のタクミが鍵を眺めて言う。

「ちづちゃんちの鍵、、
 ちょっとだけ、持ってていい?」


「 ぇ? 、、うん。
    、、、、でも、 」


「 うん。
 引っ越しちゃうまでの間だけ〜
 新婚ごっこ。 させてよ。 」


「、、ふふっ なぁに、、それ 」


「、、、、、。 」


「、 、 、、、。」



隣に座っているタクミの顔を
見なくても分かる。

タクミの寂しさが
寄り添っている肩から伝わる。

テレビではCMが終わり、
バラエティ番組の続きがやっている。
若い芸人がスカイダイビングに
挑戦しているのを観ながら
ちづるは小さな声で
「怖そう」と呟く。

タクミが小さく寂しそうに
ふっと笑う声を聞いた後、
テレビを観たままちづるは言う。


「 ぁ、 そういえば、、。
 言ったっけ?
 うちの実家、ここから近いの 」


「、、、うん。
  前に、聞いた。 」


「、、、うん。
 モノレールでは、、
     確か3駅 だよ。」


「、、、、うん。」


「、、、。
  引っ越したら、、。
 泊まりに、来ていい?」


「、、、、ん 」


「、、でも、、、あれだよね?
  間取りも、ほら、、
     ここと同じだし。
お互い新生活? に、なるのかな。
 タクミ君は、
   もう始まってるけど、、、。
 なんか、、そんな感じ
        ないかもね  」


「、、、、、。」


「ぜーんぜん、っ 、
  今と変わらなそうだなぁ〜 」


「、、、、、、。 」


「、 、ぅん、、。 
 なんにも、 変わらなそ 」




その時。
風呂場から機械の音声で
《お風呂が沸きました》と
音が流れてきた。

ちづるは「入ってくるね」と
タクミに声をかけて、
立ち上がる。

タクミはうつむいてポケットに
キーケースをしまう。

そのあと再びテレビを観る。

言いようもない寂しさに
胸が締めつけられていた。


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