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痴漢専用車両へようこそ
【痴漢/痴女 官能小説】

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車両の前哨戦-2

「なんだと!」

雄一とは違い、浅見はその挑発に乗った。恨み重なる雄一のその軽薄な態度は、端から腹に据えかねていた。その分、浅見の怒りの沸点はかなり低かった。

「ははは、来いよ。今度は脚にギブスをはめさせてやる」

「て、てめー、ふざけやがって!」

激昂した浅見の反応に雄一は笑い、さらに手招きして挑発を続けた。

(やっぱりチョロいヤツだな。突っ込んできたら、カウンターの蹴りで瞬殺だな。楽勝〜)

そう雄一が思った時だった。

「浅見さん、落ち着いて」

新たな男が車両に入ってきて、浅見に自制を促す声をかけたのだ。その男の後ろからは、さらに2人の男が続いて入ってきた。

その声に反応し、雄一が視線を向けた先には、優子を拉致した時の浅見の仲間の啓太、優子の元カレの祐治、その友人の徹夫が立っていた。

「ちっ!お前らも居たのか」

「浅見さん、こいつの挑発に乗ったらダメっすよ。こうして相手の調子を狂わすのはこいつの常套手段らしいすからね」

浅見と同じく手にギブスをはめた啓太が、雄一を睨みながら口を開いた。両腕にギブスを巻いている浅見と違うのは、10本の指を折られた啓太は、グローブのようなギブスをしていたことだ。

「おやぁ?キミは確か四回戦ボーイの啓太くんだっけ?なんの用だよ。せっかく浅見くんが本気を出そうとしたのに水を差すなよ」

雄一は、啓太をちゃかしながら状況を確認した。雄一に揶揄されたように啓太は元プロボクサーだ。前回のように油断はしていないだろうから、軽やかな身のこなしは要注意だった。

厄介なのは浅見と同じくギブスだ。浅見が骨折した腕に構うことなく暴れたように、啓太のギブスも強化されているはずだ。元プロボクサーのパンチで、それを受けると致命的なダメージになる恐れがあった。

(さすがに2人同時に無理だな)

金魚のフンのような祐治と徹夫も、それぞれ手に木刀と角材を持っていた。しかし、得物が手に馴染んでいる様子もなく、浅見と啓太ほどの驚異はなかった。その2人も分をわきまえているようで、他のプレイヤーを牽制する役割以上のことをするつもりはないようだった。ならば、自分が浅見か啓太のどちらかの相手をしている間に、他のプレイヤーに金魚のフンの対応を任せれば足りるだろう。残った1人を星司が相手をすれば、自分のように下手を打たずに瞬時にカタをつけられるはずだ。雄一はそう思った。

しかし、問題はそれ以前のことだった。

(乾と吉田は、なにをしてるんだ?)

雄一は今日のシフトを思い返した。隣の車両に配置されたプレイヤーの中には、雄一の高校時代からの仲間の乾と吉田が居るはずだ。

浅見と啓太のどちらか1人ならば、有段者の2人の隙を掻い潜って、強引にこの車両に入ってきたことには、納得はできないが理解はできる。

しかし、騒ぎが起こって直ぐに、浅見と啓太はおろか、金魚のフンの2人も息も切らせず現れたことを雄一は怪訝に思った。

(なにがあった?それにアニキはどうしたんだ?)

こんな非常時になれば、送られてくるはずの何らかのビジョンが、幸田美咲の像を最後に途絶えたままだった。

しかし、それをこれ以上気にする余裕は、今の雄一にはなかった。得体の知れない心苦しさを覚えながらも、今は目の前の状況を解決することが先決だった。

(やっぱ、こいつからだな)

雄一は懸念を一旦頭の隅に押しやり、より脅威に感じる啓太を先に片付けることにした。先ずはいつものように、相手の心を乱すことだ。

「ははは、さすが元プロボクサーだな。ごついグローブ姿が様になってるぞ」

案の定、啓大はその挑発に一瞬で顔色を変えた。

「て、てめぇ!」

激昂した啓大は、雄一の挑発に乗って襲いかかってきた。


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