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二人の外道2
【鬼畜 官能小説】

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A:2-4

「最初から飛ばしすぎだろ」
 スイッチが切られて拘束が解かれても、未だに横たわってビクビクと痙攣している少女を見下ろしながらBは言った。
「どうせ俺しか使わないんだし、いいでしょ」
「まあそうだけども」
「Bくんはこういうはみ出たバカガキが大嫌いだもんね」
「ああ、首をへし折って殺したいほどな」
「おーこわ」
 Aは身震いをする真似をした。茶化してこそいるが彼はなぜBがはみ出し者の人間を嫌っているのかよく知っていた。それはBの過去に起因するものであるが、それは彼ら二人の間では禁句とされ、語られることは今後とも一生ないだろう。
「とりあえず俺はこいつを牢に放り込んでくるから、お前は掃除しとけよ」
 足元の少女をつま先で小突きながらAに指示を出す。カッターシャツに袖を通しながらAはへーい、とだけ返事を返した。
「ちゃんとやれよ。でなけりゃその床の水たまりを舐めさせるからな」
 少女を抱え上げて、Bは部屋を後にした。

 部屋に少女を投げ入れて、鉄の重い扉を閉めようとしたとき、かすかな声がBの鼓膜を僅かに叩いた。
「助けて……」
「…………」
 ぐったりと横たわった少女。その目だけは未だに諦めていない様子で、必死に希望を手繰り寄せようとしていた。
「お願い……」
「助かりたかったら殺して脱出してみろ」
 扉が完全に閉まる間際、先ほどと同様にかすかな声だったが、今度はしっかりと聞こえた。
「絶対殺してやる……」
 Bはその声に答えることはなく、無言で扉を閉めて鍵を厳重に掛けた。

「薬の結果は出たか?」
 帰りしな、信号待ちの間にBは運転席に座るAに結果を尋ねた。彼は製薬会社の社長というポストについている。薬物に関しては専門家といって差し支えないだろう。
「ああ、なかなか楽しい結果が出たよ」
「なんだった?」
「MDEA」
「へえ、楽しいな」
 MDEA――それは最近になって出回り始めた新種のドラッグで、Bも何度か議会に提出された資料に目を通したことがあった。
 強烈な多幸感をもたらし、強烈なアッパー感とサイケデリックに見舞われると言う。薬物の耐性と精神的依存が強く、服用するにつれて徐々に当初の多幸感を得られなくなった使用者が過剰摂取に至り、最後にはサイケデリックに踊らされて事故死するという事件が目に付くようになっている。
「あのバカガキからすべて聞き出せ」
「最初からそのつもり。ちっこい脳みそに詰まってるすべての情報を吸い出してやるさ」
「情報が出そろったら、俺が潰す」
「おおーこわ。ほんとこういうのは容赦ないよね」
「なに、街はいつもクリーンでないとな。掃除は大切だ」
 信号が青に変わる。アクセルをふかしてレクサスは夜の闇に消えていくのであった。


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