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人類ポニーガール化計画
【調教 官能小説】

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第24話『生物恥丘奇行』-3

  ……。


 先日公布された人口統制に関する法律の一環として、無作為に選ばれた出産適齢期の女性――かつての法律で定められた『満18歳から満35歳まで』ではなく、肉体的な出産適齢期といえる『満16歳から満25歳まで』――に、本来禁止されている『性行為』が認められるようになった。 選ばれたうら若い女性たちは『にんぷ』という呼称で呼ばれ、自慰や接吻をはじめとする『性行為』が解禁されるかわり、所属していた職場や学校を辞め、速やかに保健所に出頭しなければならない。 『にんぷ』は出産を課せられた存在だ。 望むと望まざるとに関わらず、保健所で軍が選んだ優秀な精子を着床させられ、その後の10月10日を元気な赤ちゃんの育成に集中することになる。 無事に出産すれば『にんぷ』のお勤めはお役御免だ。 出産した子供は保健所の下部組織『保育所』にあずけられ、『にんぷ』が実施の育児に関わることはない。 『にんぷ』は再び『性行為』が禁止され、一般市民となって元の職場乃至学校へ復帰する――これが法律が定める人口増のメカニズムだ。

 性交、出産、授乳、育児――かねて女性が『性差』と主張し、女性の肉体的負担の象徴となっていたこれらの事柄を、最低限を残してサポートしようというのが法の主旨になる。 つまり『出産まで完全に休暇をとり、出産に専念できる環境を整備』し、『育児の負担そのもの』を無くし、出産後の職場復帰を完璧に保証する法律だ。 女性からすれば『性別による不公平が是正される』わけで、反対する理由はないというのに、けれどもこの法律は女性から頗るウケが悪かった。 毎日公布される各種法律にしては珍しく、セントラルパークで法律反対を訴えるデモが起きたくらいだ。 しかしデモ程度で軍が怯むわけもなく、何事もなかったように法律は執行される。 毎日十数人の年頃女性が保健所の門をくぐり、お腹を大きくされてから別棟に連行……けれど女性の中には保健所に出頭することを拒む者もおり、そういった女性たちは『種族の継承を拒んだ罪』により、『2ch』に断罪される。

『生物(なまもの)恥丘奇行』

 女性にとって『優秀な遺伝子を子孫に残すこと』は義務であり、優秀な遺伝子の持ち主であれば、交配を躊躇うことなど有り得ない。 番組冒頭、雄大なテーマソングにのって『DNAマップ』が画面を覆う。 元市民の遺伝子で、子孫に繋ぐべき価値ありと判断された、肉体的にも素材的にも極めて優秀な遺伝子だ。 ここで場面が変わる。 『にんぷ』に選ばれた10代の少女に、今回受精させる遺伝子の持ち主を説明する場面だ。 持ち主男性はせむしで肌の艶が悪く、見るからに陰気な容貌をしていた。 頭脳的には優秀な遺伝子なのだろうが、少なくとも外見に関して惹かれる部分は見当たらない。 そんな男性だろうとなんだろうと、『にんぷ』に選ばれてしまった以上、少女には彼と交尾するしか選択肢はないのだが……生憎少女には心に決めた男性がいた。 少女は、見ず知らずの男性と交尾する気持ちにはなれず、何度か保健所の前まで赴きはするものの、結局期限までに保健所へ出頭することはなかった。

 場面転換。 登校途中で騎兵に拉致され『動物園』に連行される少女。 自分に何がしかのペナルティが降ってくることは予想していたのだろう、顔は真っ青だったが抵抗は一切しなかった。 少女の首輪に鎖を繋いで郊外へと牽引する道々、行く先である『動物園』について、騎兵は淡々と少女に語る。

『一般の動物園は、種の保存・種の多様性・種の鑑賞を目的としている。 ゆえにその種独自の生活を可能な限り再現する』

『軍が接収した動物園は、種の改良・種の開発・種の進化を目的としている。 ゆえに種は誕生時から単独で飼育員に育てられ、自分がヒトと同種だと考えている』

『貴方は、自分がヒトという固定観念をすてなさい』

『近縁種であれば当然、遠縁種であっても場合によっては交配が成功する。 例えばハーフが眉目秀麗だったり、地方出身者に優秀なものが多かったり、近親相関で劣性形質が遺伝したりする。 一般論だが、種間距離が離れているほど、子孫に優秀な遺伝子が選択伝与される』『同種内でもそうなのだから、異種同士でも同じことがいえる』

『同種の優秀な遺伝子に満足しないなら、異種の遺伝子を受け入れなさい』

『動物園で育てた個体は、どれも種内で選りすぐった優秀個体であり、劣性遺伝子は存在しない。 むしろ相手の方が遺伝子的には貴方より格上で、つまり貴方にとってもったいない相手と言える。 ただし、貴方にはヒトという長所があるため釣り合いがとれているものと見做す』
 
 ここまで話をしても、少女は自分が『動物園』で何をさせられるのか、腑に落ちていなかった。 騎兵がいうことは、言葉は理解できても内容が掴めない。 『種』にしても『遺伝子』にしても、決して身近な要素ではないのだ。 少女が自分の運命を理解したのは、騎兵が提示した3枚のカードを見たときだろう。



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