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《見えない鎖》
【鬼畜 官能小説】

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〈二人だけの宝物〉-20

『やあ花恋……あ、あれ?なんで泣いてるの?』


英明は、花恋の瞳が真っ赤に腫れているのに気づいた。
それは尋常ではない充血であり、髪や衣服も何処か乱れているという“オマケ”まで付いている。


「お…遅れちゃったから……や、ヤバいって思ったらテンパっちゃって……へへッ!」


この今の自分を誤魔化さないと……花恋は思いついたままに嘘をつき、無理にでも明るく笑って見せた。
それは傍目から見ても不自然な、ある種の“強がり”であった。


「走んなきゃ良かった…かな?せ…せっかく髪もセットしたのに…アハハッ……私ってバカよね?」

『そ…そんなコトは……?』


英明は異臭を感じた。
それは自慰の後に漂う栗の花の香りに似た匂いと、なんとも生臭くて鼻腔に粘りつく臭いであった。
畜人の濃厚な精液の臭いは避妊具を貫通して花恋に付着しており、それは花恋の蜜と混じって股間から放出されていたのだった。

まだ誰とも肉体関係を結んだ事のない英明には未知の〈香り〉であり、だからこそ尚さら理解が難しくなる……。


『あ、あのさ…シャンプーとか変えた?』

「ッ…!!??」


英明は自分がいま感じている疑問の、その答えを探るべく当たり障りのない質問をした……はずだった。
だが、それを聞いた花恋の反応は、まるで冷や水を浴びせられたように強張り、地面の一点を見つめたまま固まってしまっている。
それは不可思議な反応なのだが、最近の花恋の〈いつもの言動〉でもあった。


「し…シャンプー…?アハッ!アハハハ!いきなり何なの?ちょっと…英明さんたら………」


突然笑いだしたと思ったら、直ぐに俯いてまた地面を見て固まる……それは学校で会話している時にも見せていた、不審な挙動であった……。


(ど…どうしよう……このままじゃ英明さんにバレちゃう……)


明るく振舞える精神状態ではない。
いや、花恋はずっとそうだった。

この躁鬱の激しさは、嘘をつけない花恋の不器用さの表れであり、絶対に英明には知られたくないという切迫した状況下にある、極度の緊張の表れでもあった。

それは花恋自身ならば分かる事だ。
しかし、英明からすれば如何にも精神不安定で、危なっかしい振舞いにしか感じられないものだ。


「そんなのよりさ、今日はドコ行く?私、ずーっと楽しみにしてたんだから」


いつもなら、花恋は英明の腕にしがみつく。
だが、今日は一歩手前で踏みとどまり、その場でピョコピョコと跳ねて忙しなく動くのみ。

あんな汚いモノを握らされた手で、大切な英明に触るなど〈嫌〉だったからだ。



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