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人類ポニーガール化計画
【調教 官能小説】

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第22話『ヌカず嫌い王選手権』-2

 ……。



 『ヌカず嫌い王選手権』

 レディ・ファーストの掟を守れず、閉まりかけたエレベーターに飛び乗った女性。 本来であればゆっくり歩き、誰か別の男性、或はウマがエレベーターの『開』ボタンを押すことでひらいたドアを、悠然とくぐるべきだった。 周囲が女性に対して配慮してくれる『レディ・ファースト』は、女性が連綿と求め続けてきた特権だ。 権利がある以上、そこには義務が生じて然るべき。 『女性至上法(通称、レディー・ファースト法)』があるのだから、女性は周囲の配慮を受けとめる義務がある――とはいえ、この程度の義務不履行で検挙されることにはならない。 この女性は後に警邏の騎兵から注意を受けるか、首輪を通じた『電気ショック』のペナルティを受けるか、どちらにしても軽い罰で事が済むだろう。 

レディ・ファーストは公共機関・公の催しにおいて、あらゆる場面で発生する。 それらを完璧に受け止めることは難しく、『周囲の配慮に気づかなかった』ケースは、よほど積み重なってはじめて検挙対象になるため、実質的に黙認されている。 では法律違反で検挙されるケースが何かというと『気づいていながら、意図的に相手の配慮を無駄にした』場合だ。

 番組出演者、女性『A』。 モデル体型のスラリとした女性である。 年齢的には下り坂に差し掛かっているも、まだまだ勝負できるだけの容姿を備えていた。 もっとも性行為全般が禁止された現在、容姿による利点は随分減った観があるが……そうはいっても美醜の差は小さくない。 番組冒頭、女性『A』の紹介映像が映る。 バイキングにおいて、最後に1つ残ったデザートを自分より先に並んでいた男性から譲ってもらったにも関わらず、一口だけスプーンをつけて食べ残す『A』。 ゴンドラの乗降口で『A』を待つべくドアを開けてくれた男性がいたが、男性と『A』が一緒に乗った瞬間に重量オーバーのベルがなり、形相を変えて男性をゴンドラから押し出す『A』。 男性トイレと女性トイレが共に混雑している中、男性が列を作って並んでいるのを尻目に『障害者用トイレ』を堂々と使い、あまつさえトイレの中で化粧直しを始める『A』……レディ・ファーストの精神をないがしろにする、とかく自分本位な姿が並んだ。 これらの映像が証拠となり、『A』は法律違反され、検挙・番組出演と相成った。

 畳敷きのちゃぶ台を挟み、『A』と、『A』の同僚男性が対峙する。 男性は身長160cm程度、『A』よりも小柄でメッシュのジャージで上下を揃えている。 見るからに貧相で、容貌容姿にはキレがなかった。 あまり女性経験がないのか、『A』を正視する気が無いのか。 黒縁メガネを弄りながら明後日の方向を眺めている。 一方の『A』。 いつも同様にツンとした鼻筋、いつも同様に憮然とした顔つきで、男性を上から見下ろしていた。 ただしいつもと違うのは、番組の主旨を聞かされているため、自信ありげに振舞いつつも、瞳の奥は隠しきれない不安の色でいっぱいだ。 番組の主旨とは以下の通り。

『レディ・ファーストを正しく行えないのは、即ち男性の配慮に気づく力が足りない可能性、つまり女子力不足の怖れがある。 もしも『男性の善意ある言動』と『男性の悪意ある言動』を見抜けるなら、今回の行動は特赦。 もしも両者の区別が出来ないなら、女性として生きるより『ウマ』になる方が理に適っており、『ポニー調教』2週間を課すべき。 いまから同じ職場で女性を見てきた男性から『5つのアドバイス』がされるが、その中には『1つの悪意』と『4つの善意』が混じっている。 どれが『悪意』に基づくアドバイスなのか、女性に見極めてもらう』

 司会が『男性からのアドバイスは、こちらです、どうぞ』と告げると、『鼻毛』『体臭』『トイレ』『髪型』『パンツ』、モニターに5つのアドバイスを示すキーワードが掲示された。 司会が『A』に、どのアドバイスを選ぶか尋ねる。 いかにも品の無いキーワードに鼻白みながらも、選ばないという選択肢は存在しない。 『……鼻毛、でお願いします』、『A』は不機嫌に呟いた。 司会が『おねがいするんでしょ。 ほら、お辞儀はどうしたの?』と促してはじめて、ぺこり、おざなりに頭をさげる。 男性がアドバイスの詳細を説明する。



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