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人類ポニーガール化計画
【調教 官能小説】

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第21話『挨拶我慢選手権』-4

『っていうかさぁ、コレってどういうことなの? 何であたしが捕まんなくちゃいけないわけ? 『挨拶』しなくたっていいって、ちゃんと法律に書いてあったじゃん。 ほら、『親族間の挨拶は、男性側に拒否権がある』ってヤツ。 アンタさ、なんでちゃんと知っとかないわけ? そういうんだからこっちまで迷惑なんだけど!』

 腰に手をあてた少女は、俯いて座っている男性を詰(なじ)った。 少女が言っていることは正しくて、挨拶法にはいくつか例外規定がある。 その1つが『拒否権』で『時間が無い時や面倒な時の異性間挨拶では、男性側が拒否したい場合、それが認められる』というものだ。 

『あたし、いままでアンタに挨拶したことあったっけ? ないよね? 一度もなかったよね?? それだったらさぁ、フツーに考えて、あたしが挨拶しなくたって別にいいでしょ? 今更白々しいだけだし、必要ないよ。 あんたがちゃんと『拒否権使ってる』っていえば、こんな面倒なことにならずに済んでる。 それをさぁ、どうせバカ正直に『挨拶してない』とかいっちゃったんでしょうけど……気が利かないから大迷惑だよ、もう。 あのね、アンタわかってんの? あんたのせいでこんなことになってるんだからねっ、ちゃんと反省してよね、もうっ! こんなのマジでアリエナイんだから……』

 はぁー……。 大きなため息を随所に交え、首をふる少女。 弱々しい男性を前にしているせいか、気力、勢い、少女の若々しさ、瑞々しさがはち切れんばかりに輝いている。 露骨に男性を見下ろす少女の瞳には、彼我のエネルギー差に対する自覚もあってか、軽蔑な色が浮かんでいた。 一方男性側はといえば、『喋ってはいけない』原則のためかどうかは別として、一切反論せずに俯いたまま。 その後しばらく、少女から男性への文句が続いた。 例えば『お風呂』。 自分より先に湯船に入らないで欲しいのに、休日はお湯が張るとすぐに入っちゃうから、休日は自分はシャワーを浴びるだけになっていること。 例えば『洗濯』。 少女と洗濯を分けるのは当然として、少女が洗濯物を洗濯機から回収し忘れた時に、黙って少女の服――特に下着――を勝手に取り出して干すなんて有り得ない。 下着を触られたせいで、もう一回余計に洗濯することになるんだから、少女に洗濯物を回収するようお願いするか、少女が回収するまで自分の洗濯を待つようにして欲しいこと。 例えば『料理』。 少女が離れた皿から『○○をとって』と頼む場合、母親に頼んでいるわけで、勘違いしないで欲しいこと。 男性が箸で触れたものは当然として、男性の吐息がかかった食べ物すら食欲がなくなる。 だからなるべく食事が別々になるように行動しているわけで、もっと少女に気を遣うべきなこと。 例えば『トイレ』。 女性は必ず便座に座らなくちゃいけないけど、男性はそうしなくても用が足せる。 少女と男性が便座越しに接すると思うだけで少女にはプレッシャーが凄く大きいから、基本的に男性は便座を遣わず用を足して欲しいし、出来れば外でトイレを済ませてきて、家のトイレは使わないで欲しいこと。 例えば――……等々、文句というか要求というか、少女は『逮捕』された怒りも手伝って、いままで露骨に要求したこともそうでないことも含め、俯く義理の父親に吐き出した。

『……――他にも色々あるけど、それはその都度言うから。 いっとくけど、アンタのせいでものすごくイヤな気分にさせられてるんだし、今だって、あたしが懲役だなんてバカげたことになってるのは、全部アンタのせいなわけ。 もう、ほんと信じらんないよ……一応親子ってことになってるから、今日はあたしから『挨拶』しなくちゃいけない、つまりディープキスしなくちゃいけなくなっちゃってるんだよ? アンタとキスだなんてありえなくない? 娘とキスしたいだなんて、どんだけ変態だって話なんだよ?? しかも、キスするところが全国ネットだなんて……サイッテーだよね。 あたしがどんな想いでここに立ってるか、わかってんの? いっとくけど、あたしね……人生で今日よりブルーな日なんてないの。 何が哀しくてアンタとキスしなくちゃいけないのよ……だから、これだけあたしに迷惑かけたんだから、反省も込めて、少なくともさっきいったことは、掃除、洗濯、トイレ、宿題その他色々、ちゃんと言う通りにしてもらうんだから』

 憎々し気に吐き捨てる少女。 対する男性は少女に頭が上がらないと見え、年齢相応に丸まった背中が、ダンゴムシよろしく縮こまる。

『……あー、ウザったい……さっさと済ませよ……』

 少女はツカツカと歩み寄り、男性と『挨拶』――つまり唇を合わせようとした。 ところが男性は俯いたままだ。 

『はぁ……? なにしてんの?』

 眉を顰める。 顔を真下に向けられて、少女から唇をつけようにも仕様がない。



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