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人類ポニーガール化計画
【調教 官能小説】

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第21話『挨拶我慢選手権』-3

 ツイと舌を丸め、男性の口許に唇を重ねる。 女性は目を閉じると、力強く、それでいて柔らかく互いの唇を交差させた。 男性に抵抗するそぶりはなく、女性から舌を挿入する。 ここで画面右隅に『キス・スイング・シミュレーション』と題した別画面が現れる。 画面は、2人が口づける様子から『口の中で舌がどのように動いているか、シミュレーションした映像』だ。 軍の映像分析力が如何なくはっきされ、舌の誤差は1ミリ以内に収めてある。 

 もご……ぶちゅっ……れろえろ、えろん……にちゅにちゅ、むちゅう……。

 見ている側が恥ずかしくなるくらい、積極的に女性が舌を伸ばして、ほじり、舐める。 歯茎と上唇の間に舌を滑り込ませ、歯茎を舌が磨くかのようだ。 もちろん歯と歯、歯茎と歯の隙間も、先を尖らした舌が舐め清める。 画面右隅に映る口の中の映像では、口腔上皮に歯茎の裏、舌咽から舌乳頭に至るまで、女性の鮮やかに赤い舌が、届く限りあらゆる範囲を、ぺろんぺろん、べろんべろんと羞恥の欠片も伺わせずに這いまわる。

 一方で男性はというと、しばらく舌を下あごにつけて縮こまっていた。 自分から積極的になるどころか、まるで舌が動かない。 女性が舌を絡めるも、応じる素振りはなく、為すがままなスタンスだ。 これでは『互いの唾液交換』とは認められず、『正式な挨拶』とは判定されない。 男性は、ハッキリいって拗ねていた。 街ですれ違ったときは逃げ出したくせに、という思いは根強い。 いざペナルティを前にすると途端に積極的になるパートナーに対し、男性からすれば、自らがこたえる義理はない。 しばらく積極的に口づけしていた女性も、やがて男性にその気がないのが分かったのだろう、そっと舌先を相手口腔から納めた。 『そうですわよね……今更ですもの。 昔のように、なんて甘えてみせて、厚かましい女とおもってらっしゃるんでしょう……? 仰る通りですわ。 ですから、せめて貴方の感触に、もう少しだけ浸らせてください』 唇と唇が触れるか触れないかの距離で、舌先で上唇と下唇の隙間をつつく。 啄むというより、触れる感触。 むしろ舌ざわりと比べて、密接した吐息の方が唇に堪える。 ちゅっ……ちゅぷ……ちゅむ……処女のように、どこか怯えた初々しい接吻だ。 露骨に擦りつけていた下半身も、おっぱいをへしゃげさせていた上半身も、今はただソッと触れて互いの体温を感じるのみ。 まるで出会った頃のような、つつけば壊れてしまうような繊細さが、女性の仕草にはあった。

 そんな仕草のどれか1つが、男性の心を溶かしたのだろうか。 ちゅむ……ちゅむぷ……無反応の男性に構わず繰り返される口づけの最中、不意に男性の舌が唇の隙間から顔を出す。 目をつぶって愛おしげに唇を触れさせていた女性は、男性の舌を感じたのだろう、ピクンと身体を強張らせる。 恐る恐る舌を伸ばし、互いの唇の隙間において、舌同士を触れさせたとき、もう男性は舌を引っ込めようとはしなかった。 ゆっくりと、そしてネットリと絡み合う舌と舌……やがて男性の唾に塗れた舌が女性の唇を破り、『キス・スイング・シミュレーション』に、女性の喉チンコ付近までベロベロ、ニチャニチャと蹂躙する様子が映された。 大量の唾――滝のような涎、といっていい――が男性の舌を通じて口内に溢れ、女性の喉がコクンと鳴る。 ここで『正式な挨拶』が認定された。 時計の針は、開始から25分経過を示している。 2人は唇を離したが、唾液がネットリと糸を引き、共に頬が紅潮していた。 特に女性は陶然となっていて、視線に理性が感じられない。 『……貴方のモノです……』 呟く女性に対し、男性は優しい眼差しを女性に送ると、振り返らずに出て行った。 と、男性の姿が見えなくなった途端、女性の瞳が知的に光る。 『ふうっ……疲れた……相変わらず面倒なんだから。 どうせキスするんだったら、最初から気分出せばいいのに、顎が痛くなったじゃない……だからアンタが嫌いなの』 ボソリと吐き捨て、口許を服の袖でグッと拭う。 心底嫌そうに眉を顰めながら、女性も部屋から出て行った。

 場面が変わり、一面黄色い壁紙の部屋。 中年、というよりはやや老境に入った白髪まじりな男性が中央の椅子に腰かけている。 バタンッ、ドアが乱暴に開けられた。 入ってきたのはオカッパが眩しい、色黒でいかにも利発そうな、うら若い美少女だ。 少女は紺の制服上下を身に着けていた。 2人の間柄――担任と生徒ではないし、まして愛人関係でもない。 2人は義理の父娘だった。 少女の母親は自分より20歳上の男性と再婚し、少女は十代前半にして50歳離れた男性を『父親』と呼ぶはめになった。 男性は優しく穏やかで、知的で且つ稼ぎがよかった。 おそらく年齢が離れすぎた少女に対し、何かしら後ろめたさもあっただろう。 少女が欲しいといえば、大抵のものは揃えてくれた。 そんな男性に、けれど少女は決して心を開こうとはしなかった。 露骨に避け、陰口を叩き、挨拶もしない。 男性が何も叱らないのをいいことに、少女は学校で父親のことを『ATM』と呼び、家では父親の帰りが早いと小遣いをもって外食し、休日に父親がいると朝早くから黙って友人の所へ遊びに行った。 いざ『挨拶法』が制定されても、生活習慣なんて急に変えられるものじゃない。 今まで通り義理の父親を無視して過ごしていたら、何故か『挨拶法』違反がバレて今に至る。 この状況に対し、少女は不満でいっぱいだった。



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