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『JUSTICE』
【青春 恋愛小説】

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『JUSTICE』-2

「そんなことより、今日帰りにカラオケ行かない?実は友達に合コンしようって誘われててさ。」
俺のツッコミをさらっとかわした龍一の提案に信秋がくいついた。
「お、いいねぇ。俺は行く!」
「って俺の話は終わりかい!」
「じゃあ僕と村田と佐藤の三人で決まりね。」
「しかも拒否権無しかよ!」
俺たちはいつもこんな調子なのだ。さんざんツッコミを無視されてあきらめた俺が龍一に聞いた。
「はぁ…で、相手は?」
龍一はフフッと意味ありげに笑って応えた。
「…高女の生徒だよ。」
信秋が歓喜の声をあげる。
「マジで!?高女の女の子と合コンできるなんて、俺ってば幸せ〜…。」
…のんきなやつ。すぐさま現実に引き戻してやることにした。
「あのな、いくら高女の子っていったって、俺がさっき話したような性悪女も中にはいるんだよ!あんまり期待し過ぎると、後で痛い目見るぞ!」
しかし信秋はまるで気にしちゃいない。
「なんだよ、夢がねぇなぁ。そんな子ばっかりってわけでもねーだろ?もっと希望を持ちたまえ!」
…ホントにのんきなやつ…。かくして、俺たちは放課後カラオケに行くことになったのだった。


放課後、カラオケ屋に着いた俺たちは、先に部屋に入って待機することになった。そして待つこと10分、なにやら外が騒がしくなった。
「…ちょっ…!…男…聞いてない…!私……!」
「ダメ…!…人数…なくなる…!」
龍一がそれに気づいて口を開いた。
「ん?ようやくおでましみたいだね。」
すると扉が開き、女の子三人が姿を現した。女の子二人が、もう一人を引きずるようにして部屋に入ってくる。俺は引きずられている女の子を見て思わず声をあげた。
「あぁあああ!お前は今朝のっ!?」
そう、そいつは他でもない、痴漢から助けてやった女の子だったのだ。すると向こうも俺を指さして叫んだ。
「ア、アンタは今朝の痴漢!」
「そうそう…って違うわボケェェ!俺は助けたほうだろうがっ!」
不適切な表現にすかさずツッコミを入れてやるが、悪びれた様子もなくヤツは言い放つ。
「ふん、どっちでもかわんないわよ!」
む、ムカつく〜!さらに言い返そうとする俺を、引きずっている女の子が止めた。
「あーストップストップ!ごめんね〜、綾女は男の子苦手だからこういう態度しか取れなくて。」
龍一も俺をなだめるようにいった。
「佐藤も落ち着けって!とりあえず座ろう。」
ここまで言われたら仕方ない。ムスッとしたままひとまず座る。しばらく『綾女』と呼ばれたヤツも帰るだなんだダダをこねていたが、結局あきらめて席に座った。
それから簡単な自己紹介になった。さっき俺を止めた子が『大橋香織』。龍一とは小学校からの友達らしい。短めの髪に猫っぽい目の元気系の子って感じだな。もうひとりの子が『宮野百合子』。ウェーブのかかった長い髪と垂れぎみの目のかわいい、天然系の子だ。そして『ヤツ』が『西崎綾女』。肩くらいまである髪はクセがついて外にはねている。色も白いし、目もぱっちりしてて、黙ってればかわいいのに…とか考えてたら、またしても痛烈な一言を浴びせられた。
「ジロジロ見ないでよ!この変態!」
「な、なんだとコラァ!」
コイツ、マジでムカつく!しかしすかさず大橋が止めに入った。
「ハイハイヤメヤメ!ケンカなら後でやんな!…でもあの綾女が男の子と言い合いなんて珍しいわね〜。もしかして、正義くんのこと気になっちゃってる?」
そういって大橋がニヤニヤしながら西崎の顔をのぞき込んだ。
「なッ!?そ、そんなわけないでしょッ!香織、変なこと言わないで!」
西崎は顔をまっ赤にしてそう言うとふてくされて横を向いてしまった。


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