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《見えない鎖》
【鬼畜 官能小説】

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〈蜉蝣の飛翔〉-12

(……英明さん!?)


校舎に入ると、そこに英明はいた。
ちょっとだけ緊張している様子だが、不器用な笑顔で花恋に近づいてくる。


『昨日はごめんね。俺……俺やっぱり、花恋が居なきゃ駄目みたいだよ』

「!!!」


聞きたかった言葉が、花恋の爪先から脳天にまで電流を走らせる……赤く腫れていた目は水晶のような滴を溢れさせ、疲れが見える頬を宥めながらつたい落ちた……。


「私も…んくッ…私も英明さんが…ヒック!英明さんがいないと……ッ」


汚された身体になっても、花恋の英明を想う気持ちは変わってはいない。
昨日は痴話喧嘩で周囲に迷惑を掛けた二人は、今日は人目も憚らずに抱き合っている。

冷やかす者も居れば不機嫌を露わにする者も居る。

そして温かく見守っている三人が居た……。





――――――――――――




英明という心の拠り所を得た花恋は、母の帰宅を待って自宅に帰り、昨日は洗えなかった洗濯物を持ってバスルームに走った。

シャワーを浴びて忌まわしき記憶を排水口に流し、清潔さを取り戻した身体に真新しい衣服を纏わせる。
そして二階に上がって部屋に入ると、洗い終えたばかりの洗濯物を干していった。


(また盗まれてる……)


やはり一着の下着が無くなっていた。
それは今朝に脱いだ白の下着だった。
一日中穿いていた下着なのだから汚れも臭いもするだろうが、それが高値の要因になるというバカさ加減は、嫌悪を催させるには充分である。

だが、今日の花恋は意に介さなかった。

もうあの兄弟は、下着くらいしか手が出せなくなるはずだからだ。



『〇〇市に、けっこう大きなデパートがあるんだってな。そこにお母さんと買い物に行くことにしたよ』

『その店は良いねえ。そこの最上階のレストラン、ステーキが美味いらしいよ?そこでディナーでも楽しんできたら?』

『ディナーなんて何年ぶりかしら?なんか今から緊張しちゃうわね』

「………」


今週末の日曜日の事で、家族はワイワイと盛り上がっている。
ことさら裕太と裕樹は、両親が遅い帰宅になるよう囃しているが、その明け透けさは“本性”を知っている花恋には愚かとしか思えない。



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