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《見えない鎖》
【鬼畜 官能小説】

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〈特別な日〉-5

(裕太お兄さん……まさか、裕樹かしら……?)


積極的に話し掛けてくれる兄の裕太が、下着を盗むとは思えない。
いつも避けるように俯き、殆ど会話のない裕樹の方が怪しい。
いや、あの明るい振る舞いこそ、異常性欲を隠す為のカムフラージュなのかも?

疑心暗鬼だけが独り歩きしていくが、そんな思案をいくら巡らせても犯人は判るまい。


今、この家には自分しかいない。
探りを入れるには絶好のチャンスでもある。


花恋は対面している右側のドアを開け、中に入る。
そこは兄の裕太の部屋だ。


「…………」


さすが男の部屋というべきか、壁には巨乳グラビアアイドルのポスターが貼られ、下品な青年誌が床のあちこちに散らばっている。
その散らかった部屋の右手側には机が置かれており、起動したままのノートパソコンが光を放っていた。


(いっぱいフォルダがあるのね……)


他人の部屋に無断で侵入した罪悪感は、もっと“覗いてみたい”という好奇心を生み出していた。
盗まれた下着を探すという本来の目的を胸に置いたまま、花恋はマウスを動かして起動中のフォルダにカーソルを滑らせた。


(……な…なんだろ?)


クリックすると、画面は何処かの部屋の中を映し出した……見慣れた机に椅子にカーテン……花恋は驚きと共に戦慄し、思わず目を見開いた……。


(と…盗撮ッ!?)


花恋は慌てて自分の部屋に入り、部屋の天井の隅に開いている不審な穴を発見すると、椅子の位置をずらして裕太の部屋へと戻った。画面の中の椅子は、たった今動かした場所に変わっており、つまり、この盗撮は今も行われているという事だ……。


(きッ…気持ち悪い…ッ!)


ずっと兄の裕太は自分を視ていた……着替えは勿論のこと、私的な空間だからと遠慮なく放ったオナラも、そして自慰も……きっと母親と一緒に行った顔合わせの直後から、善からぬ欲望を抱いてカメラを仕込んだ……録画記録を見れば、それは一目瞭然だったからだ……。


(他の…他のフォルダは?)


もう下着泥棒は裕太だと見ていい。
もはやこのフォルダ全てに悍ましい欲望が込められているとしか思えなくなった花恋は、カーソルを動かして調べ始めた……それは新たな戦慄と、調べなければ良かったという後悔を花恋の胸に突き立てる……。



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