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SM学園・行事幕間
【学園物 官能小説】

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第14話 29番の海合宿-1

〜 29番の海合宿 ・ 寮での会話 ・  〜



 期末試験終了。 学園祭も終わり。 従って1学期も残すところ本日の終業式のみ――。

 これが『幼年学校』なら、みんな間違いなく大笑顔。 ニッコニコに間違いない。 何しろ1学期が終われば夏休みが待っている。 1ヶ月を上回る長期休暇には、有無を言わせぬ幸せの香りが渦巻いている。 夏休みに入る直前期間は、まだ夏休みが始まっていないけれど学校生活は一休みということで、得も知れぬ解放感が躍動する。

 そんな特別な日だというのに、

「はあ……」

 登校服という名の紐水着をつけた『私』こと【29番】の口からは、深い溜息しか出て来ない。 だってここは『学園』だから。 夏休みが始まった途端にスタートする『海合宿』を考えると、どうにも幸せな気分になんかなれない。

「はあ……」

 二度目の大きなため息をついたとき、

「どうしたん。 元気ないよ」

 ポン、と肩に手をあてるクラスメイト。 小柄でハスキーソプラノ、ちょっと子栗鼠を思わせるはしっこさと人懐っこさ。 振り返るとニコニコ笑顔の【9番】さんだった。

「せっかくの良い天気やん。 楽しくいこ」

「楽しく……ねえ。 そうしたいのは山々なんだけどさ。 来週の合宿を考えると気が重くってさ」

「合宿〜? いまさらそんなん気にしてんの〜?」

 【9番】さんは目をパチクリさせていた。

「だってさぁ。 泊りがけだよ。 しかも海だよ。 絶対酷いコトになるってわかってるし」

「別にいいやん。 学園におっても酷いコトいっぱいあるし。 いつもと場所が違う方が気楽でいいかもわからんよ」

「そうかもしれないけど、真逆かもしれないじゃない? 気分一新、教官にボコボコにされちゃうとか、施設の人たちが超ドSとかだったらどうしよう……」

 正直に、自分が危惧してることを打ち明ける。 
 帰ってきた反応は私の予想と逆だった。 てっきり同意してくれると思っていたら、

「大丈夫やって♪」


 務めて明るく、ポンポン、肩をはたかれた。

「うちの先輩な、最初の1週間が最高に大変で、次は1学期やいうとってん。 いっとくけどな、うちらはいっちゃんしんどいトコを乗り越えたんやで〜。 しかもクラス全員揃って、やで。 どんな合宿か知らんけど、なるようにしかならへんし、大したことあらへんって!」

「うわ……ポジティブ星人がいる」

 あっけらかんとした様子が眩しくて、つい視線を逸らして俯いてしまった。 
 【9番】さんが言いたいことは、よく分かっているつもりだ。 一週間につき1日くらいは、私も彼女みたいに明るく前向きに考えていると思う。 ただ、残り6日はというと……う〜ん、嫌な事ばっかり想像して、一人で滅入っちゃうことが多い。 ネガティブネガ子のいじけ虫でいる時間の方が、逆の時より圧倒的に長い性質(たち)だ。 その点【9番】さんは、いつも明るくて元気いっぱいだ。 成績は私と同じくらいでも、運動神経は鈍い方だから、多分指導回数は私より多い。 叱られたり悪目立ちして公衆オナニーする回数も、私よりずーっと多い。 それでも明るくいられるんだから、根は、というか地頭は、私より遥かに賢いと思う。 



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