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「夏の出来事 5」
【若奥さん 官能小説】

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夜道-4

タクミは部屋に戻ると
ベッドの上に腰をおろし、
一点を見つめて動かない。
ちづるに対する苛立ちが
治まらずにいる。

「、 、〜っ   」

   
  なんなんだよ!

 なんで 

    何もかも受け入れんだよ!


  〜っ  

  送りの誘いも

   俺と 


  会わない事も 



「、 、 っ、、 」 



タクミの視界にふと、
枕元に置いてあるCDが入る。
タクミは
CDを持つと、
ジャケットを見て思い出す。

日曜日に、
ちづるとご飯を食べながら
このアーティストの話をしていた。

ちづるは嬉しそうに
『今度、CD 持ってきてね。』
と言っていた。


「 〜っ、 、  、、 っ」


 
  『なんでそんな事、〜っ
     言うの? 』




タクミは、
手に持っているCDを
思いきり床に投げつけた。
CDケースは
カシャンと音を立てて割れ、
中のCDがケースから半分飛び出した。

ちづるの悲しそうな顔が
頭から離れない。

言葉が、頭の中で
何度もリピートされる。



 『なんで そんな事言うの?』



「 〜っ、 ちづちゃんが 」


   言わせたんだろ

  
  俺に



「 、 、 、、〜っ、   」


      あ 。

    

  俺 りさちゃんに 昔 

    同じ事を




タクミは思い出す。
同じ高校の先輩、
りさと付き合っていた頃の事。

口論の末、りさが感情的になり
今のタクミと同じように
CDを壁に叩きつけた。
そういう事をしないでほしい、
と、タクミは伝える。

りさはこう言っていた。



 『タクミ、っ、アタシの事、
    馬鹿にしてるよっ!』


『 タクミが、 、
  させてるんだよ !〜っ  』



「、 、 、〜っ、 」


  あの頃の りさちゃんも 


  こんな気持ち だったのか

    





タクミは、
割れたCDケースを見つめる。
再びちづるへの苛立ちが沸いてくる。

その夜はいつまでも眠れずにいた。


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