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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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無茶しないで-3

「いらっしゃいませー!」

パン屋の制服に身を包み、沢山のパンを乗せたトレイを両手に持ち、せっせことあちこち早歩きをする彼。

「おーい!これ運んどいてぇー!」
「クリームパン、もう売り切れか!」
「お会計まだかしら?」
「はいっ!ただいま!」

彼のバイト先は意外と人手不足で、店長がそれで困っている事を知り、お人よしの彼はどーせならとここに応募して。それからは接客にレジ打ち、品出しなどありとあらゆる仕事をこなしている。

客からも職場の人からも引っ張り凧、それでも彼は嫌な顔一つせず業務をこなす。

「さっさとパン袋に詰めろよ!ったくちんたらしやがって!」

ガラの悪い見るからにパチンコや競馬にあげ暮れてそうな人相の悪い中年男に怒鳴られている。

「は、はい!少々お待ちを!」
「使えねーなお前幾つよ?」
「え、高校二年です。」
「はぁーん?その顔でか?どう見ても中学生、いや小学生にしか見えないぞ。」

何こいつ…、店の窓から大好きな恋人が態度の悪い客に責められて。今すぐにでも殴ってやりたい!でも彼は暴言を何度投げつけられても反論する事なく、ひたすらぺこぺこ頭を下げるだけで。まぁ仕事なんだし、大事な客に嚙みついてはいけないのは当然だが。

まさか親からの援助金に甘えるでもなく豪華な式を挙げる方法って…。

自分が今のように必死に働いて…、その事実に今更気づき改めてクレーム客に責められひたすら頭を下げる彼を見て。

「風馬、君。」


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