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尚代
【SM 官能小説】

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暑い夜-4

 尚代が頭で状況を理解し、現実の世界に戻るのにかなりの時間がかかった。コニャックの効果もあり、朦朧としていた。
 黒い影は黒いフェイスマスク、いわゆる目出し帽をかぶった男だった。
「ひぃぃっ……」
 かなり遅れて、涸れた声が部屋に響く。
 身体を動かそうとするにも、絶頂後の弛緩状態で力が全く入らない。いわゆる腰砕けの状態だった。しかも、アルコールが入っているからなおさらだった。
 それを知ってか、尚代は呻くことしかできないうちに、素早く、男が両足首をラップのようなストレッチフィルムで巻き上げていった。
「ああっ、やめてぇ……うわあぁっ……」
 次いで尚代の身体をゴロゴロ転がして両手を身体の側面で同じように巻き上げた。
 アッという間に、透明なフィルムで膝から下の両脚を揃えたまま、身体の側面で両手を揃えたまま、動けなくなっていた。まさに、気をつけ!の姿勢のまま、身体が固定されてしまっていた。動かせるのは指先と頭部だけだった。もし、フィルムの代わりに白い包帯で巻けば、巻きかけ途中のミイラのような形だった。
 仰向けに寝かされた尚代は、ブラジャーとパンティで本来隠しておきたい女らしさの部分が、完全に空気にさらされていた。

「ふふ……気がついたようだね。最初からずっと見せてもらったよ。奥さんのオナニー。……可愛い顔して、いやぁ、すごかったねぇ。……驚いたよ。今までこんな激しいオナニーを生では見たこと無かったからね。まず、指を使って逝って、そしてバイブでまた逝って……」
 ハアハアとした息づかいが納まった男が話した。
 一方、抗う気持ちは強くても、鈍重な動きしかできない尚代だったが、やはりまだ荒い息をしている。
「いやぁ……なんで?……どうして……家の中に……いるのよ。……どこから……入ったの?」
「ふふふ……秘密さ。……まぁ、ヒントを言えば鍵を開けて玄関から堂々とおじゃましたんだけどね」
「うそっ……そんなはずないわ」
「まぁ、そんなことどうでも良いけど……さっきのオナニー……しっかり動画で頂戴したからね」
「ええっ?……うそばっかり……こんな暗い部屋の中なのに……」
「ふふふ、知らぬは奥さんばかりって……このカメラは超高感度撮影ができるんだ……うそだと思うなら見せてあげようか」
 男はカメラのファインダーで再生した。
 画面の部屋は真昼のように明るかった。常夜灯の仄かな明かりが適度なコントラストを作り上げ、室内がカラフルに写っていた。
 カメラに付属した小さいファインダーの中には、ベッドの端にカメラを構えたのだろうか、両膝をMの字に立てた尚代の股間が足下から真正面に写し出されている。そして、女らしさの中心で蠢く右手が見えた。
 やがてゆっくりとズームアップされ、Vの字にした左手の指先でクリトリスの根元のくびれが見えるくらい、これ以上は無理と思われるほどきつく包皮が剥かれていた。その真ん中には、真っ赤に硬く膨らんだ女の象徴が、右手の人差し指の刺激に応えるように、右に左にクネクネと動き廻っていた。
 動画は感度だけでなく、凄い解像度だった。アップにすると、花びらの皺のひとつひとつがハッキリ見えた。
 激しい息づかいに混じって、妖しい雌の喘ぎが聞こえ、右に左にのたうつかのように、よじれた女の秘裂が色鮮やかに写し出された。
 カメラは真下から写していた。そのため、顔がのけ反っていて、豊かな乳房の間からは顎が見えるだけで、顔はハッキリわからなかった。
 一方、斜め上方から写した画面には顔がはっきり写っていた。
「なっ……すごいだろ」
「いやっ……とめてっ!やめてちょうだい」
 強い口調で叫んだときだった。
 ブビッ!
 尚代の下腹部から空気が吹き出て、湿ったオナラのような下品な音が聞こえた。
「あれぇっ!……人にものを頼むのに、オナラをしながらなんて……ずいぶん品のない奥さんだ」
「ひっ、卑怯な……勝手に忍び込んで,写すなんて……消して。お願い」
 ブリュリュゥゥッ!
 再び音が流れ出た。
 尚代は肉壺から奏でられる下品な音を自分の意志で止められずに、恥ずかしさから顔を真っ赤にしていた。
「いやぁ、正直で立派なマンコだ。……奥さんが、女から雌に変わった証さ。……アクメを迎える時に、雌は男の子種をトコトン洩らすまいと肉壺の奥が膨らむんだよ。……そのときスポイトのように空気を吸い込んだってわけさ。なぁ、奥さん」
「そんなこと……」
「そして逝ったあとで、肉壺が元に戻るときに、入っていた空気がジワッジワッと出てしまうんだよな。俺のことを怒鳴ったもんだから、腹圧で空気が勢いよく吹き出たってわけね」
「それより、その動画を消して……消してください。お願い……」
 尚代は涙声に変わっていた。
「こんな宝物を消すなんて……せっかく手に入れたのに。……この先、お金に変わるものを。……なぁ、奥さん」
「いやぁ……消してぇ」
 喉にからまった涙を咳払いして頼んだ。しかし、男はそれには答えなかった。


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