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横浜発 7:54
【女性向け 官能小説】

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-5


「さくら」

駅の雑踏の中で、朝の通勤時間に
皆が改札へ行くことしか頭にない時
そっと後ろから肩を叩かれた。

「え?」

振り向いた先には矢野さんがいて。

「この電車だったんだね」
少しばつが悪そうにそう言った。

「え・・・っと。あの」
急な事で、何も返事の出来ない私に困ったように笑いかける。

「さくら、今日は仕事は忙しい?」
「え・・・」
「休むことは、無理かな?」
「え?休む・・・の?」

人の流れは、私たちをよけて改札に流れて行く。
吸いこまれるように、改札の向こう側に消えて行く人たち。

3分間隔の電車は、あっという間に後続車が来て
駅は再び人の波にあふれた。

「無理だったら、帰りでも良いけど」

何も答えない私に、矢野さんは困ったように言葉を続けた。

「俺、さくらを困らせてる?」

無理やり作った笑顔が痛々しくて。

「えっと。ごめんなさい急には休めな・・・」
そう言った私に、少し距離を置いてじっと様子をうかがっていた三木さんが

「良いよ。長谷川さん。電車の中で体調悪くなったから帰したって言っとく」
「三木さん・・・」

「長谷川さん今月から有給が付くんだよ。入社半年目から」
「・・・・」
「1回目の有給取ってこいよ」
「あの・・・」
「大丈夫。人生仕事より大事なことなんて山ほどあるさ」

そう言って、笑いながら改札への階段を下りて行った。




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