R-3
「研究職ってしつこいわよ。絶対に」
「そ、そうなの?」
「そうよ。しつこい性格じゃないと研究なんか出来ないじゃない」
う。うん。それならそれでいいよ。
「だからさくらは逃げられない。朝か帰りに近いうちにつかまるよ」
それって、脅し?姉が妹を脅してるの?
「電話したほうがいいわよ」
「うん・・・」
「まぁ矢野さんなら人間的に悪い話は聞かないし」
しつこいって散々言ったくせに。
「出世もすると思うし」
ご飯食べに行くだけでそこまで考えないし。
「何よりさくらがナンパしたんでしょう?」
だから違うってば。
「あ。ごめん仕事のキャッチが入った。またね」
そう言って一方的に電話を切られた。
はぁ・・・
電話を見て軽くため息をついた後、
矢野さんに電話をする事にした。
数回鳴った電話の呼び出し音はピッと音が鳴って
留守番電話に切り替わった。
まだ会議なのかな。
「朝、駅で話した長谷川で・・・」
そこまで言った時に電話が切り替わって通話になった。
「ごめん。矢野です。電話ありがとう」
急いで取ったのか軽く慌てていた。
「あの、長谷川です」
「うん。電話ありがとう。長谷川さん、ね」
「今日の夜大丈夫?」
「あ。はい」
思わず言った自分の返事にビックリしていると
「うん。良かった。駅に何時に来れる?」
「あ、矢野さんに合わせます」