投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

横浜発 7:54
【女性向け 官能小説】

横浜発 7:54の最初へ 横浜発 7:54 3 横浜発 7:54 5 横浜発 7:54の最後へ

-4


「あ、おはようございます」

相手は昨日の挨拶の時、私が誰なのかはっきり分かっていたらしく
横浜駅の柱に寄り掛かって―――たぶん私を待っていた。

そのまま2人で人の流れに身を任せるように乗車して。

隣のつり革なんか持ったことがないのに。
自然に隣に並んで立った。

「昨日はビックリしたよ」
「すみません」

恥ずかしくて、うっすらと顔が赤くなるのが自分でも分かる。

「一瞬誰だか分らなかった」

私は今まで分かりませんでしたっ!

「あれってさ?ナンパだと受け取って良いんだよね?」

え?

恥ずかしさも忘れて、今度は私が彼を凝視した。

「あ、あの」

間違いでした、と声に出ない。
ナンパのフレーズに、車内の周りの人たちも耳を澄ませているのが分かる。

「はい。名刺」

思わず受け取ったその名刺には
有名な会社名と名前があった。

「横浜ホールディング・・・」
「あ。知ってる?」

日本人で知らない人はいないと思う。

横浜からたった2分のその1駅は、会話をするにはあまりにも短くて。
あっという間に、また人の流れのままに下車した。




横浜発 7:54の最初へ 横浜発 7:54 3 横浜発 7:54 5 横浜発 7:54の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前