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華麗なる転身
【SM 官能小説】

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第11章 尿道責め-7

第11章 尿道責め(7)

 乱れた着衣を直していると、ノックも無くドアが開き、突然部長が入ってきた。
 部長は部屋の中に女の匂いを感じたのか、鼻を鳴らして二人を見た。
 ユキがあわてて換気扇のスイッチを入れた。
「そう、妊娠したといっていたんだね。……それでどうすると言っていた?」
「ユキが確認してきました。ここまでは計画通り進んでいます。……あとは、不幸な出来事と同情して堕胎を勧めようと……」
「変に町医者で中絶されたら元も子もないから、早めに手を打つように……自殺したりしないだろうな」
 部長はユキに訊ねた。
「たぶん……大丈夫だと。けっこう芯が強そうな人でしたから」
「そうか。ならいいんだが……」
 答えたユキを部長はジロジロ見ている。逝ったばかりの余韻に浸っていたユキの顔には妖しい雰囲気が満ちていた。
「ユキ君と言ったな」
「はい」
「なんか、今日はずいぶん色っぽいじゃないか……なんか良いことがあったのかな?ははは」
 いやらしい目つきで舐めるようにユキを見ていた。
「部長!不謹慎です」
 マヤが毅然として言い放った。

 マヤは芳子の自宅に向かい、中絶を勧める話を始めた。
「大野芳子さんね。……このたびはお気の毒なことでしたねぇ。ユキから聞きました。……本当に辛いことだったとお察しいたします。……あなたを犯した男たちは全員解雇させました、と言いたいところですが、そのためにまたあなたが逆恨みされることを恐れて、山本と新藤以外は遠方の支社へ転勤させました。山本と新藤はあなたと直接顔を合わせない部所に異動させたそうです。ですから出社してきてもその男たちと顔を合わせることはまずない、ということを最初にご報告させていただきます」
 この話の中の男たちの強制的な転勤や転属については全く逆だった。昇進のための転勤を買ってでた者に対して、餞別代わりに芳子と交わることができるという利息を付けたというのが本当の話なのだ。
 そして、芳子には同情する振りをして、センターでの中絶を勧めていった。
「ところで、お腹の子供はどうするつもり?」
「最初は中絶も考えていたんだけれど、なんだか寂しくなっちゃって。……それに半分は私の子なんだから.……今は産もうかなって思っているんです」
 芳子は産もうか産むまいかまだ迷っている口ぶりであった。
「まぁ、輪姦は不幸な出来事としても、妊娠はめでたいことね」
「えっ、どういうことです?……」
「だって、あなたの女としての機能が半分証明されたんだもの。……毎月の生理だって、確実に排卵が起きているってことじゃない。……世間では毎月の生理があったって妊娠できない人が多くて、不妊治療してる女の人が多いのよ」
「まあ……」
「でも、だれが父親かわからない子なんて、産んでから後悔するわよ。……父親のことを聞かれたら困るんじゃないかしら。……なんといっても、あなたはまだ若いんだし、それに本当の旦那の子が欲しくないの?……今、旦那は行方不明と言っても、明日帰ってくるかもしれないのよ。……そのとき何と説明するのよ」
「確かに……そうですけど……」
「実は、うちの社では、今、人工流産用の座薬を開発しているの。……妊娠が確定しても、体力的に出産を諦めなくてはならなかったり、経済的に子育てが難しくなったりしたときなど、この座薬を膣の奥に入れておくと、自然と吸収されて、胎盤が剥離する働きがあるの。……これは自然の流産なのよ。子宮をこじ開けて中から引き出す堕胎じゃ無いのよ」
「……」
「それにあなたのお腹の中には妊娠の順番を待っている若い卵子がいっぱいあるのよ。今はたまたま一つの卵子が受精しただけなんだけれども、何も無ければその卵子は次の生理で、ナプキンの中に出ていって燃やされてしまうのよ。だから今のお腹にいる子は、妊娠できる身体だという証明だったと思えば良いのよ。……ねぇ、そうでしょ。生理でいなくなったのと同じって考えればいいのよ」
「……」
「そして、本当に妊娠したいときに、出てきた卵子を使えばいいのよ。基本的にどの卵子を使って妊娠しても同じよ。……でもね。母親になりたい、妊娠したいって思うと、卵子も良い子になろうってするのよ。……受精する前から、よし出番がやってきたって、張り切るのよ。……だって、お腹の中で待っているの卵子は、みんなあなたの子になりたがっているんだから……」
「そんなものかしら……」
「くよくよ悩んでいるんだったら、こう考えたら良いんじゃ無いかしら……毎月の生理で出て行った卵子はどうなるの?……毎月毎月、赤ちゃんになることもできずに可哀相な捨てられ方をされてるじゃないの。……あなただってどれだけたくさんの卵子を捨てていたのか……前向きに考えてみれば?……あなたにとってこれから妊娠するチャンスなんていくらもあるわ」
 芳子の顔が明るくなってきた。この勢いを逃がしてはならない。
「今開発中の座薬は、最後の段階で動物からヒトへの最後のテスト期間なのよ。あなたと同じ不本意な妊娠で困っている女の人は日本だけで何人いや何千人もいるわ。……中絶費用が捻出できずに困って暗い気持ちで過ごしている女も多いのよ。産みたくない子を産まなくちゃいけない状況に追い込まれている人もいるわ。……この薬が販売できれば、ラーメン一杯分の価格で明るい未来が開ける女が増えるのよ。……人助けとおもって、是非協力をお願いしたいわ」
「わかったわ」
「ありがとう。……ただ、社外への持ち出しはできないの。辛いかもしれないけれど、お出でいただけないかしら。……それと、日帰りは無理なので、一週間分の着替えをお持ちになってね。……さぁ、準備ができたら早速出発するわよ」
座薬の試験的使用を約束させ、気が変わらないうちにセンターへ連れ戻した。
 一度センターに戻ったら、二度と外には出られないことを知らずに。
<第11章 尿道責め(7)おわり つづく>


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