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「あなたに毒林檎」
【SM 官能小説】

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「あなたに毒林檎」-15

ふたりはまだSEXを知らなかったからその性的な興奮がどこから来るのか探り合っているように思えた。互いの部分を見つめ合いたどたどしく舐めあい不可思議な気持ちに酔いしれた。
 秘密の遊びはかずま君が引っ越してしまう数ヶ月先まで続きその後ぷっつりと終わりを告げた。お引越しの時彼は私に何かプレゼントをくれたがそれは今どこにあるんだろう? 大事に大事にしていたのにな……。

 室内を見渡すと見覚えのある部屋だった。ここは? ここは彼の部屋だ。なんで?? 
彼はどこに? ベッドのある方へ向かう……。
彼はそこで裸のまま仰向けになり寝転がっていたが、おちんちんは勃起し肉棒には細い紐が巻かれていた。

 ギュ-ギュ-巻きにされたそれはかなり痛々しかったが、彼は構わずその縛ったままのおちんちんをしごいている……。これはオナニー? 私は初めて見る彼のする奇妙な方法にドキドキしてしまい、声をかけることが出来ずじっと見ているしかなかった……。彼の顔を見ると切ない表情で私の名前を呼んでいる……。

「まり、まり、まりえ、まりえ、まりえさま、鞠絵様」

 ……名前に様が付いている? 今までそんなふうに呼ばれた事などないのでびっくりてしまった。……彼の腰は私の名前を呼びながら上下に激しく揺れはじめ、手の動きに合わせ振幅が大きくなっていった……。
 ベッドのきしみと低い呻き声は混ざり果てる瞬間に巻きつけた紐を解き放たれた。
射精されるザーメンはすんでの差でティッシュがあてがわれ、紙の中に放出された……。

 彼は射精した後の余韻を味わっているらしくそのまま数分間じっとして動かなかった……。私は見てはいけないものを見てしまったのかと、そーっと部屋を出ようとしたが、というより私はどこからここへ入ったんだっけ?

「あれえー?」

 男性のオナニーをこれまで見たことはなかった……。ましてや彼のするオナニーなど……。おちんちんの先に巻かれた紐で彼は欲情し私に ”様付け” しながら果てたのだ……。どういうこと?……。何かおかしい……。
男の人ってあーいうふうにオナニーするものなの? そうなの? 彼の瞳の奥に隠されたものの正体ってまさか……。

 中学生の私?……。あいつだ……なんであいつが居る?
あいつとは美術教師のことで、彼は学校でも良い人で通っていて何かと私たちの面倒を見てくれるきさくな先生だった。
 ある日の放課後、奴のいる美術実習室の隣にある部屋へ課題の絵を遅れて持っていったことがあった。
奴は留守で仕方なく机の上に課題を置き何気なくそいつの鞄を見てしまった……。
開け放たれた鞄の中からほんの少し顔を覗かせている小さなアルバムがあり、表紙に私の名前らしきものが小さく書き込まれていた。
 
 なんだろうと思い、単なる好奇心で引っ張り出してみただけだった……。だけど見開いて行くうちに身体は震え出し悲鳴を上げそうになっていった……。
アルバムにある写真は全て私だった……。数々の私、私、私だらけ……。恐る恐るページを開いていくと、カメラ目線の写真など一枚も無いことに気付かされた……。友人達と写っているものも、頼んだ覚えも無いものばかりだ……。

 どうやらそれらはことあるごとの私を盗み撮りしたもので夏服の私、冬服の私、新体操部でのレオタード姿の私……。
股間のアップや胸の膨らみだけ写っているものもあった……。
 極めつけはトイレの中の私だった……。生理中でタンポンを入れている姿がありのままに写されていた。
 私は驚きのあまりアルバムを床に落とし写真をばらまいてしまった。
日付を見てみると昨日だったからだ……。

 怖かった……。あまりの怖さに固まってしまったが、アルバムを元の位置に戻すため写真を拾い上げようとした時ふらつく身体はバランスを崩し何も無い床で転びかけ奴の煩雑な机につんのめってしまった。
 その拍子に煩雑な物達はドシャドシャと床に落ち写真の残骸を隠してしまった。

 床に散らばった物たちは、まるでスローモーションのようにパラパラと舞い落ちたがどうすることも出来なかった……。
拾おうにも奴が帰って来たらどうしようと、気ばかりが焦ってしまいしんとして不気味な場所に変貌した教員室に立っていることさえ苦痛で、そのまま吐いてしまった。

 もう駄目だった……。散らばった物達はそのままに泣きそうな勢いで部屋を抜け出した。
教室に戻ると一変して蒼ざめた私を友だちは気遣ってくれ保健室に連れて行かれそうになったがそのまま慌てて帰宅した。

 そして、あることに気付いてしまった……。あの散らかって胃液の染み付いた物の中には私が提出した課題が乗っかっているのだ……。誰が犯人なのか一番先に目を付けられてしまうのは私だった……。
どうしようどうしよう……。

 今更あの部屋へ戻ることも出来ない。そんな恐ろしいことは中学生の私には出来なかった……。今は出来るだけ早く学校から離れたい、ただそれだけで自転車を走らせた。


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