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君が泣かないためならば
【女性向け 官能小説】

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「酔ってる?」

啓はそう聞きながら私の首筋にキスを繰り返す。

「酔ってちゃだめなの?」
「だから!後悔してほしくないって言ってるだろ。
ここで抱いて、明日の朝は目を合わせてくれないってのはいやなんだよ」
「・・・・」
「ちゃんと待てるから」

待てるから。
その言葉とは裏腹に、啓の唇が鎖骨まで下りて来た。

「ん・・・っ」

思わずあえいだその声に、私にその声を出させた啓自身がビクッとする。

「ごめっ」

そう言って私から離れようとするから、今度は私がぎゅっと啓を抱きしめた。

「後1ミリなの。重田さんを忘れるまで。
こんなことを彼氏に言うのはずるいってわかってる。
でも啓に隠し事はしたくないの。
その1ミリを啓が、啓が取り除いて、って言うのは我がまま?」

頭を啓の肩に預けて。
耳元でそっとナイショ話のように呟いた。

「俺の方が、我がままだ。
俺の人生で・・・1番の我がままは明日香を抱きたいと思っていることだよ」

そう言って啓は私の目を見ながら
ゆっくりとキスをした―――



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