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君が泣かないためならば
【女性向け 官能小説】

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-1


啓は、私を思い切り甘やかしてくれた。
普段でも人に気を遣う啓が
なおさら私に気を遣う。

「啓、今日紗江子ちゃんと飲みに行くけど行く?」

近頃紗江子ちゃんは司君と遊んでいてあまり私たちと飲みに行かないから
3人で飲みに行くのは久しぶりだ。

「あぁ。司はテストか」
「うん」
「あ〜・・・悪い。今仕事が立て込んでるんだ。
この資料をなるべく早く仕上げてN.Y.に添付しなきゃならない」
「そっか。残念。それって啓が前から希望していた仕事でしょう?」
「そう」

そう言いながら私の顔をじっと見る。

「何?」
「イヤ・・・終わるころ連絡して。迎えに行くから」
「え。いいよ。それより手伝おうか?」

データー整理ぐらいなら手伝える。

「いいよ。たまには紗江子と飲んで来いよ。
それより送るから。一人で帰るなよ」

啓はちょっと心配症だ。

「それこそいいよ。大丈夫」
「夜遅くに一人で歩くなよ。どっちにしろこれは今日中には終わらないから。
明日香が連絡くれれば、そこで一段落つけるよ」
「うん・・・」
「明日香を送るのは俺が心配なだけだから。
俺を安心させるために送らせて」

小さく笑ってからパソコンのキーボードに打ち込みを始める。

「分かった」




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