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君が泣かないためならば
【女性向け 官能小説】

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「明日香。俺が明日香を好きだって、気が付いてる?」
ひとしきり泣いた後、私を抱きしめながら啓がぽつりと言った。
「・・・・・」

うっすらと気が付いていたそれは啓の言葉で現実味を帯びる。

「俺じゃぁ重田さんを忘れさせることはできない?」

狭いシングルベッドの中で
私を抱きしめながら、ゆっくりと背中をポンポンとたたく。

抱きしめられているそれに、性的ないやらしさは全く感じなくて
むしろ純粋に私をあやすかのように抱きしめる腕が心地よかった。

啓の言葉に何も答えない私に
「急がないから。考えて」
そういった後、小さい小さい声で
「抱きしめているから何も心配しないでもう寝ろ」
と私を安心させる。

私はそんな啓に身体を預け、ここ1年で1番ゆったりとした気分で寝た。

「好きだよ。明日香」
そう言って啓が私のこめかみにそっとキスをしたことを私は知らない。



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