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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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離れていく二人-3

トワイライトな空が少し眩しく、自宅である青果店が近づき大きく見えてくる。

「佐伯、君。」

巴ちゃんに言われたように私はもう一度電話する事にした、勿論夜に。

そういえば今日は店の納品日だ、またお爺ちゃんと一緒に取引先に回らなくちゃ。それを
思い出した途端少し心が焦った。

「待ち合わせの時間ってもう少しじゃない!」

お爺ちゃんは常に予定をカレンダーに刻んである、昨日ちらっと見た限り取引先に向かうのは17時頃、いつも車で20分で着くので40分には支度しなきゃいけないのに、恐る恐る時計に目をやると既に大きな針が5を過ぎていて…。

やってしまった、きっとお爺ちゃん怒って一人で取引先に行ってしまったのだろう、申し訳ない気持ちになった、そりゃー佐伯君の事とかで色々と頭一杯だったけど。

でも変だなぁ、それならそれで電話が来る筈なのに…、先月も時間前になっても帰って来ないから電話が来てたのに、でもたまたまそんな事もあるだろう、そう思い売り場へ足を運ぶ、すると。

「あれ?」

商品がシートに掛かっていず無人販売所になっている、それにいつも取引先に向かう時は案の定人手がなく私が店番をしても良いのだけど、人見知りな私が不安で任せてもらえず
「ただいま休業中」の立札を欠かさず立てているのにそれすら立てていない、幾ら若干
うっかりなお爺ちゃんでもそれは絶対しなかったのに、何だか嫌な予感がしてきてそれを
ごまかし続ける私、でもそんな思いを一蹴する物が目に入り。

それは床に転がった林檎が、それも一個や二個じゃなく、そしてその先に目を追うと。

「お、お、お爺ちゃんっ!!?」

一瞬何が起きたのか理解出来なかった、散乱した林檎の先にその林檎が入った袋を持って床に倒れた彼の姿が!

「お爺ちゃん、お爺ちゃん!ねぇ、ねぇってばぁっ!」

すぐさましゃがみ両手で体を揺さぶるも目を開く事はなく…。

「……あっ!」

少しばかり冷静を取り戻し、ケータイを取り出し119を押す。



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